コチラの首周りや腕にガッツリ入れ墨を彫り込んだ女性は、フィリピン北部のカリンガ州に住むアポ・ワン・オドさん。
なんと御年108歳で現役の彫り師、タトゥーアーティストなんです。
108歳の伝説の彫り師に国内外から依頼殺到
108歳のオドさんは、80年以上前から彫り師として活動しているそうで、おそらく世界中の数多いるタトゥーアーティストの中でも最高齢。カリンガ州の伝統的な入れ墨を現代に伝える生き字引です。
そんなオドさんの伝統的な入れ墨には、電動のタトゥーマシンなんかは使いません。竹の棒にザクロの木のトゲトゲを付けて、水で溶いた石炭を、肌に彫り込んでいくのです。
入れ墨のモリーフは、昔の部族が彫っていたトライバルな図柄や動物などで、それぞれに「強さ」「繁殖力」といった意味があり、かつては、戦闘において敵を倒した男の戦士だけが、肌に彫ることを許されていたそうです。
現代的なタトゥーとは趣が異なる、オドさんのトラディショナルな入れ墨を彫ってもらうため、国内外から依頼者がやってきます。
しかし、オドさんが住んでいるのは辺境の山岳地帯。首都マニラから車で片道15時間かかるため、生半可な覚悟では面会することも出来ません。
このように、海外からも注目を集めるオドさんの伝統的な入れ墨なんですが次世代に伝えるための後継者問題も…
入れ墨の伝統を次の世代へ…
海外からの評価も高いカリンガ伝統の入れ墨は、誰もが技法を身につけることは出来ません。
この伝統的な入れ墨の技法は、彫り師の血縁者にしか伝えてはならない決まりがあるそうです。さもなければ入れ墨の文化が乱れると、古くから制限されてきました。
オドさんには自分の子供がいなかったので、現在は伝統を絶やさぬよう親戚の娘を特訓して、彫り師に育て上げているとのこと。
「私が入れ墨を入れた古い友達は、みんな亡くなってしまいました。現役の彫り師は私だけですが次世代の彫り師を訓練しているので、伝統が終わることを恐れていません」