「幼い自分の子供が、姿を消してしまった…」
親として、これほど血の気が引く瞬間はないだろう。
つい先日、ロシアで暮らすアンドリューさんとアルフィアさん夫婦の息子で4歳のディマ君も、つい目を離したすきに行方知れずとなってしまった。
しかも、ディマ君が姿を消したのはデパートや遊園地ではなく、人を襲う熊や狼が出没する森の中だった…
猛獣の出る森で4歳児行方不明
ロシア西部のウラル山脈でのこと。
その日、森の中で薪にするための木の枝を集めていたアンドリューさんは、息子の姿が見えない事に気付いた。
ついさっきまで、自分の薪拾いを手伝っていた息子は、どこへ行ったのか?
「息子は薪拾いに飽きて、近くでテントを張っている妻の所へ戻ったのだろう」そう考えたアンドリューさんは、たいして気にすることはなかった。
もし、この時にディマ君を探していれば、後に、それほど大事になることはなかったのかもしれない…
ディマ君は母親のところに戻っていなかったことがわかり、夫婦は慌てて付近の森を探したが、一向に息子は見つからない。
そのため、警察へ通報し、広大な森の中から行方不明の4歳児を探す大規模な捜索が始まった。
500人のボランティアが必死の捜索
付近の森には人間にも襲いかかる狼や熊が出没するため、早く発見しなければディマ君の命が危ない。
その上、4歳児にサバイバルに関する知識があるわけもなく、たとえ猛獣に遭遇しなかったとしても、体力的に危険が大きい。
捜索には500名のボランティアも加わり、昼夜を徹してディマ君の行方を追った。
しかし、どれだけ探しても少年の姿は見つからず、時間だけが過ぎていった。
あまりにも少年が見つからないため、この時、警察は父親が息子を殺め、そのアリバイ作りのために捜索を依頼したのだと考えていたほど。
が、それが大きな誤解だったことは、ディマ君の失踪から5日目に証明された。
ボランティアで捜索に参加していた1人が、大きな樹の下に何かを発見したのだ。
最初は、それが何かわからず近づいてみると、ようやく小さな子供が、うずくまっているのだと確信した。
「もしかしたら手遅れだったのかも…」と思った時、うずくまる少年がピクッと動いたため、すぐに助けを呼び、5日間危険な森を彷徨っていたディマ君は無事に救出されたのだった。
ボロボロの少年は口が聞けず…
発見された時のディマ君は、全身を蚊やダニにかまれ、脱水症状と肺炎で心身ともに憔悴していた。
すぐに設備の整った病院へ運ばれ、手厚い治療を受け、徐々に回復しているそうだが、喋ることができなくなっているそうだ。
「ボランティアの皆さんにとても感謝しています。
息子は、まだ話すことは出来ませんが、だいぶ良くなってきたようです。頷いたり、意思表示をすることは出来ます。
今は暖かい毛布に包まれて、点滴を受けています」(母)
ディマ君は、森の中で飢えを凌ぐため雑草を食べ、水たまりの水で喉を潤していたと見られている。
ただし、これで事件解決とはならなかった…
ハッピーエンドでは終われず…
無事にディマ君が発見されたが、ここでハッピーエンドとはならないようだ。
両親は子供の監督不行き届きで、罪に問われる可能性があり、これから警察の聴取を受けるとのこと。
子供を持つ皆さんもお気をつけて。