つい先日、中国浙江省で11歳の少年が誘拐される事件が発生し、世間を騒がせた。
11歳のファン君が小学校からの帰宅途中に、何者かに誘拐されたと見られ、母親が警察に捜索を要請。
ファン君誘拐事件の解決に向けて、警察は膨大な数の職員を捜索に動員。
少年の顔写真や服装に関する情報が公開され、旦那さんが息子の居場所に関する有力な情報に対して「50万元(約800万円)の報酬を支払う」と宣言すると、中国版TwitterのWeiboで全国に拡散。
少年の安否が心配される中、意外な事実が明らかとなる…
母親の狂言誘拐説が浮上
捜索開始から数日後のこと、警察は1本の防犯カメラ映像を発見した。
それは、誘拐事件が起きたとされる日の午後、ある駐車場の防犯カメラにはファン君と母親の姿が映り込んでいたのだ。
母親はファン君へ、普段乗っているのとは別の車に乗るよう指示。
警察は、今回の事件を母親の狂言誘拐ではないかと疑い、防犯カメラの映像からファン君の乗り込んだ車を割り出し、行方を追跡すると、母親の親戚の家にたどり着いた…
捜索開始から5日後、警察は親戚の家でファン君を無事に保護。
それは喜ばしいことだが、警察は事件の鍵を握っていると思われる母親のチェンさんを逮捕。
取り調べが行われると、意外な犯行理由が明らかになった。
ドッキリ誘拐で夫の愛を確認
結婚生活が長くなってくると、ふと不安に駆られることもあるだろう…
「夫は私や子供のことを愛しているのかしら?」
気付けば、結婚当初のようなトキメキもスキンシップもなくなり、言い争いが増え、パートナーが何を考えているのか分からなくなって、疑心暗鬼になってしまいがち。
今回の狂言誘拐を計画した33歳の人妻チェンさんも、夫の気持ちが分からなくなり、多くの中国国民を巻き込む大騒動を起こしてしまった。
「最近、夫と夫婦喧嘩が絶えなかったので、自分や息子を愛しているか試すため誘拐を計画して親戚の家にかくまってもらいました…」
夫はメディアに登場して情報提供を呼びかけるなど、父親としての責任を果たしたが、首謀者のチェンさんには、擁護論以上に厳しい意見が噴出している。
「多くの国民を騙し、大勢の警察官を捜査に動員させた母親を厳しく処罰するべきだ」
激怒する人にも理由がある。
誘拐事件は中国で深刻な問題となっていて、毎年7万人もの少年少女が誘拐され、ブラックマーケットで人身売買されていると言う。
捜索で発見されるのはわずか少数で、チェンさんの私利私欲による狂言誘拐は容認できないと考える人が多いのだ。
果たして、この嘘みたいな狂言誘拐に司法はどのような判断を下すのか?