通常のブラウザからではアクセスすることが出来ない「ダークウェブ」は、匿名性が高くネット犯罪の温床となっている。
違法薬物や武器の密売、個人情報の取引などは当たり前。お金次第では、犯罪行為を請け負ってくれるヒットマンを雇うことも…
【怖いネット犯罪】医師がダークウェブで妻の誘拐と監禁を依頼
2021年4月、アメリカのワシントン州で、55歳の医師のロナルド・イルグがFBIによって誘拐未遂の容疑で逮捕された。
きっかけとなったのは、匿名の人物からFBIに送られてきた、ダークウェブに書き込まれたメッセージのスクリーンショット。
それは、何者かがダークウェブでヒットマンを雇い「自分の妻を誘拐して監禁して欲しい」「1日2回、1週間彼女にヘロインを注射して欲しい」「彼女が自分でヘロインを注射する姿を録画して欲しい」と依頼する内容で、すでに依頼料はビットコインでヒットマンに支払われていた。
放っておけば誘拐事件が発生してしまう。
事態を重く見たFBIは、早速、ビットコインの流れを追跡。すると、ワシントン州で新生児医療に携わっているロナルド医師までたどり着き、逮捕に至った。
ジキルとハイドな二面性を持つ医師
この逮捕にロナルド医師の周辺の人達は驚いた。彼は医師として優秀で職場でも尊敬される立場にあった人物。また地域のボランティア活動にも積極的に参加していたからだ。
ところが、彼には凶暴な裏の顔もあった。
ロナルド医師が誘拐を依頼した妻は彼よりも15歳年下で、2018年には、夫婦の間に男の子も誕生していた。しかし、彼女は2020年6月に子供を連れて別居生活を始めている。
と言うのも、ロナルド医師は妻への束縛が激しく、彼女の乗っている車やスマホをGPSで常に監視。また、彼女が要求を拒むと、身の回りのものを勝手に捨ててしまう気性の荒い一面があったという。
そんな生活に耐えかねた妻は、夫の元を離れて離婚を申請した。
それからもロナルド医師は彼女に何百通ものメールを送り付け「戻ってきて欲しい」「離婚を取り下げてくれれば金を払う」など訴え、彼女の職場の周りに現れてストーキングまがいの行為も繰り返した。
最終的に、ロナルド医師はダークウェブでヒットマンを雇い、妻の誘拐を計画した。妻をヘロイン漬けにして、意識が朦朧となった妻に離婚訴訟を取り下げさせ、自宅へ戻るよう説得するつもりだったとか。
警察に逮捕され社会的地位も失ったロナルド医師は、その後…