ある年老いた女性が亡くなるまで後悔していた出来事とは…
怖い話「祖母の後悔」
これは今から15年ほど前の話です。
テキサス州に住んでいた私の祖母は、前年に夫を亡くして暫く落ち込んでいたんですが、ボランティア活動や地域のイベントへ積極的に参加するようになって、生きる活力を取り戻していました。
季節はちょうど冬に入った頃、祖母は図書館で開かれた地域の交流会に参加した後に、徒歩で帰宅していました。
自宅へ向かって歩いていると、祖母は背後に人の気配を感じたそうです。
最初は漠然とした不安だったのですが、それは徐々に恐怖へ変わっていきます。
高齢のため歩くのが遅い祖母に対して、背後の人物は獲物を狙う獣のように少しずつ距離を縮め、ついに肩に手をかけ低い声で告げました…
「おいクソババア、死にたくなかったら絶対に振り向くな。そのまま財布を出して後ろ向きに投げろ。いいな」
「お願いします…乱暴しないでください…」
祖母は震える手でハンドバッグの中から祖父が大切にしていた形見の拳銃を取り出すと、素早く1歩前に踏み出してから振り返り、背後にいた中年男に向けて発砲したのです。
銃弾は男の首に命中し、刑務所病院で5年間寝たきりの生活を送った後に合併症で死亡しました。
祖母も2年前に肺炎で他界してしまったのですが、亡くなるまで男を撃った時のことを後悔していました。
「もう少し落ち着いて狙ってれば撃ち殺せたんだけどね…天国であの人に怒られてしまうよ…」