「雨の女」と怪奇現象
完成した「雨の女」をアートギャラリーに持ち込んで展示してもらうと、たちまち評判となり、一人暮らしの女性会社員が購入することを決めた。
彼女は自宅の寝室に「雨の女」を飾ったのだが、すぐに購入を後悔したそうだ。
なんでも、自分以外に誰もいないはずの寝室で誰かの視線を感じるようになったそうだ。そのうち夜も眠れなくなってしまい、不眠症に悩んだ彼女は「雨の女」を壁から外してクローゼットに押し込んだ。
が、嫌な視線が途絶えること無く、困り果てた末に作者のスヴェトラーナに返品を申し出たそうだ。
再びギャラリーで展示販売すると、今度は若い男性が興味を示した。自宅のリビングにピッタリだと思い「雨の女」を購入して飾ってみたのだが、彼もまた購入を後悔することになる。
彼が眠りに落ちると、毎晩のように絵の中の女が夢に現れ彼のことを延々と追いかけてくるのだという。
「半額だけ返金してくれればいいから、この絵を引き取ってくれ」
彼もまた、スヴェトラーナに「雨の女」の返却を求めた。
立て続けに購入者の身に不可解な現象が起きたことで「雨の女は呪われているんじゃないか…?」と、ネガティブな噂が広がり始めていた。
そんな悪評も理解した上で「雨の女」を気に入った別の男性が購入を決意した。
が、この男性もまた片頭痛、嫌な視線、鬱に苦しむようになり、早々にスヴェトラーナへ「雨の女」を返却。
その後も、何度売っても「雨の女」は購入者の身の回りで不可解な現象を引き起こし、必ずスヴェトラーナの元に返ってきてしまったそうだ…