雨の中で黒い帽子を被り、ずぶ濡れになりながら悲しい顔をした女性…
コチラの絵画「雨の女」は、ウクライナ南部の港町オデーサに住んでいた女流画家スヴェトラーナ・テレットが1996年に描いた作品。
まだ駆け出しの新人画家が描いた「雨の女」が有名になったのは、作品の出来栄えが素晴らしかったからではない。
購入者が自宅に「雨の女」を飾ると不可思議な怪奇現象が頻発するようになり、何度売っても作者の手元に戻ってきてしまう「呪いの絵」として、ネガティブな評判が広がったからだ…
嫌な視線を感じながら描きあげた「雨の女」
1973年にオデーサで生まれたスヴェトラーナ・テレットは、地元の美術大学で絵画を学び、めきめきと頭角を現した。美術展で賞を受賞するほど評価され、将来を期待された。
美術大学を卒業して間もない頃、スヴェトラーナには気がかりなことがあった。何者かが自分のことをじっと見ているような、気味の悪い視線を頻繁に感じるようになったのだ。
気のせいなのか…見えざる何かに見られているのか…原因はわからないけれど、スヴェトラーナは嫌な視線を振り払うように絵画制作に没頭した。
そんなある晴れた日のことだった。スヴェトラーナは真っ白なキャンバスの前で何を描こうか思案していた。
すると突然、彼女の頭の中に一人の女性のイメージが現れたそうだ。暗い表情や色合いなどが魔法のように浮かんできた。
スヴェトラーナは誰かに導かれるようにキャンバスの中へイメージの中の女性を描き、5時間ほどで大部分を描きあげた。
それが問題の絵画「雨の女」だった。