日本でも人気を博した海外ドラマ「ブレイキング・バッド」は、癌を宣告された余命僅かな高校の科学教師ウォルター・ホワイトが、化学の知識でメタンフェタミン(覚せい剤)を密造。
裏社会の中でトラブルに巻き込まれながら成り上がっていく、ブラックサクセスストーリー。
2008年から放送がスタートして、世界中で話題となった「ブレイキング・バッド」に影響を受けて、薬物売買の世界へ踏み込んだ学生グループがいた。
名門大学に通う5人の学生たちは、ディープウェブとビットコインで大金を稼ぎ、今でも、彼らの資産は膨らみ続けている…
名門大学の秀才グループが薬物売買で荒稼ぎ
イングランド北西部に位置するマンチェスター大学は、これまでに数多くのノーベル賞受賞者を輩出したイギリスが誇る名門校。
ところが、2013年にマンチェスター大学に通う学生5名が、薬物売買の容疑で逮捕された。
学生たちがLSD、エクスタシー、ケタミンなどのドラッグを取引していたのは、普通のインターネット環境ではアクセスすることができない「ディープウェブ」の中に存在した「シルクロード」と呼ばれる闇サイトで、匿名性が高いことから、ドラッグ、銃器、偽造カード情報など、違法取引の温床となっていた。
学生たちグループの中には薬理学、コンピューターサイエンス、石油化学、マーケティングなどを専門に学ぶ秀才たちが揃っていたので、それぞれの得意分野を活かして、2011年よりドラッグの密造と販売をスタートさせた。
そこから約2年半にわたって、5人の学生は80万ポンド、約1億円以上のドラッグを売り捌き、派手に遊び回った。
しかし、シルクロードでの違法取引が問題視され、2013年10月にサイトは閉鎖され、違法取引情報のつまったサーバー情報をFBIが押収。
学生グループは逮捕され、裁判では5人に合計で懲役85年が言い渡された。
ただ、これで全てが解決したわけではない。
学生グループが荒稼ぎした大金の多くは、現在でも見つかっていない。
さらに、彼らが刑務所の中にいる間も、その価値が膨れ上がっているのだ…
5000億円分のビットコイン
「シルクロード」で取引された薬物は、全てビットコインによって決済されていて、学生たちが手にしたビットコインの大半は現在でも発見されていない。
ご存知のように、ここ数年、ビットコインの価値は高沸したため、学生グループがどこかに隠したビットコインは、総額で5000億円を超えるとも言われている。
グループのリーダーで工学部の学生だったバジル・アッサフ(現在26歳)には、最も長い懲役25年5ヶ月の判決が言い渡されたが、過去にこのような発言をしていた。
「ダークウェブ上で仮想通貨による取引を行っていれば捕まることはない」「たとえ逮捕されたとしても、刑務所の中にいる間にビットコインの価値は上昇し続けるさ」
逮捕されたのは想定外だったとしても、数年後の仮想通貨バブルを見事に言い当てるとは、さすが名門校の秀才。
懲役を終えて出てきた時に、まだビットコインが存在して、今よりも価値が膨れ上がっていた時、バジル・アッサフたちは莫大な資産を得ることとなる。
が、懲役25年が終わるのは、まだ遠い未来の話…