中国湖南省に暮らすリー・ファさんの体に異変が起きたのは18歳の頃。
奇妙な脊椎の奇病によって体が折れ曲がってしまい、常に太ももと頭がくっついた状態での生活を強いられた…
奇病で曲がった中国人男性
それまでは普通に生活していたのに18歳から徐々に体が折れ曲がり、顔を上げることもできなくなったリーさんに下された診断結果は「強直性脊椎炎」。
これは、脊椎や骨盤の炎症が原因で発症するリウマチ性疾患で、腰痛や運動障害の原因となる。
強直性脊椎炎は、それほど珍しくないが、リーさんほど悪化するのは非常に稀だ。
母親のサポートがなければ生活できないほど病状は深刻だったが、リーさんの家庭は非常に貧しく、高額な治療費を支払うことができない。
そのため、リーさんは体が折れ曲がった状態で20年以上を過ごした。
エベレストを登るほど困難な治療
母親も高齢になり、いつまでもリーさんの介護を続けていくことは出来ない…
そのため、リーさんは広東省深センの大学病院に相談し、援助を受けつつ2019年6月から強直性脊椎炎の治療を開始した。
主治医のタオ医師は、次のようにコメントしている。
「背骨の変形によって、心臓や肺に圧力がかかり、そのままでは死に至る危険もありました。ただ、治療はエベレストに登るほど難しく、少しずつ背骨を折って、再び矯正する作業を繰り返しました」
入院から半年かけて4回の手術を行い、変形した背骨や脊椎を徐々に矯正。
そこから更に半年かけてリーさんは激しいリハビリに挑みついに奇跡が起きた…
奇跡の回復!仰向けで眠る喜び
2019年6月の入院から約1年後の2020年6月13日、リーさんは遂に自分の足で歩いて大学病院を退院した。
18歳から困難な生活を強いられていたリーさんは、現在46歳。苦しみから開放された喜びを、次のようにコメントした。
「20年以上、窮屈な状態で睡眠をとっていたので、もう一度、あおむけて寝ることが出来るようになって幸せです。手術後に初めて母親に会った時に、ずいぶん母が年をとっていたことに気付かされました。何年も私の世話で苦労をかけてしまいました」
再び、前を見て歩くことの出来る日がやってきたリーさんは、母と一緒に故郷へ戻り、生計を立てるために店を開く予定だ。