健康のために体を動かすのは良い習慣だけど、スポーツにのめり込むあまり、日常生活に支障をきたすほど依存してしまうと、もはや病気。
イングランドの都市ドンカスターに住む19歳のリサ・フーウェザーは、高校時代にスポーツ依存症となり過剰な運動を続けた結果、体も心も病んで死にかけてしまった…
スポーツ依存症で死にかけた女子高生
リサがスポーツにのめり込んだのは、高校のランニング部に入部したのがきっかけだった。
マラソンで自己ベストを更新したくてトレーニングを重ね、体作りのため食事にも気を使うようになった。
ところが、リサのトレーニングは次第に常軌を逸していった。
朝に目を覚ますと、そのままハーフマラソンを走り、果物だけの朝食をとって学校へ行き、放課後も遅くなるまでグラウンドでトレーニングを行い、自宅に帰ってからも腹筋2時間、踏み台昇降7万回。Instagramにアスリートが投稿しているトレーニング方法も片っ端から試すなど、体を動かし続けた。
麻薬中毒者が薬切れで錯乱するように、リサも体を動かしていないと罪悪感にさいなまれるようになった。
そして、カロリーを気にしてフルーツなどしか食べなくなったことで体重は激減。
娘の異常に気付いた両親は、リサを精神病院へ連れて行った…
摂食障害「オルトレキシア」
激しいスポーツと偏った食事で、リサの体重は約37キロまで激減。精神科の医師は「オルトレキシア」と診断した。
オルトレキシアとは、ダイエットやスポーツにのめり込むあまり、「体に悪い」「不健康だ」と思い込んだ食べ物が食べられなくなる摂食障害で、栄養失調や死に繋がる危険もある。
この時のリサは、体重以外にも骨密度の低下、脈拍の低下、生理が止まるなど、体はボロボロ。
医者は「心臓発作を起こす危険もある」と、リサに運動することをやめるよう警告したが、彼女は自分が間違っているとは認めず、「スポーツを止めたら自殺しちゃう」と突っぱねた。
すでにリサは体も心も病んでいたのだ…
スポーツ依存症は克服したけれど…
このままでは本当にリサの命が危ないため、病院で入院治療を受けることになった。
「精神的にも肉体的にも疲れていたのに、毎日、走らずにはいられませんでした。ある夜、グラウンドを一人で泣きながら走っていたのを覚えています。振り返ってみると、私の体が休んで欲しいと懇願していたんだと思います」
リサは専門家の助けも借りて徐々に健康を取り戻し、極端なスポーツやダイエットもやめた。
治療を始めてから3年が経ち、体重は54kgまで増えたが、現在でも骨密度が低く、激しい運動をすれば骨折の危険もあるほど。
「今後は、摂食障害で苦しんでいる人たちの助けになりたいと思います。倒れてしまう前に、助けを求めるのが大切です」