アメリカ海軍に所属する20歳のロバート・ダニエル・コリボーは、1968年にベトナム戦争から帰還した。
勲章を授与されるほど兵士として結果を残したロバートだったが、戦場で多大なストレスを受けた結果、現在で言うPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、ペンシルベニア州フィラデルフィアの海軍病院で閉鎖病棟へ入院することとなった。
戦争の英雄からPTSDの脱走兵…
通常なら、外出することもままならない、閉ざされた世界。
にも関わらず、その年の11月18日深夜に、ロバートはベッドの上から忽然と姿を消してしまった。
警察や軍関係者が施設内外を捜索しても、ロバートは発見できず。
母国のために従軍したにも関わらず、海軍はロバートを脱走兵とみなし、長らく生きているのか死んでいるのかすら、誰も知らなかった。
しかし、謎の失踪劇から45年が経った2012年のこと。
ロバートの妹が、過去にフィラデルフィア周辺で発見された身元不明者の遺体の中に兄がいないか、DNA捜査を依頼した。
すると、ここで衝撃的な事実が発覚することになった…
45年前の未解決事件
捜査の結果、病院から姿を消したロバートと、1人の身元不明者のDNAが一致した。
だがしかし、その身元不明者が遺体で発見されたのは、ロバートが病院から姿を消した、わずか4時間後…発見場所は病院から50キロも離れた地点だった。
つまり、ロバートは病院から姿を消した直後に、死亡していたことになる。
死因は、心臓を細い刃物で突き刺されたことによる失血死で、頭部には海軍のピーコートが被せられていた。
戦場でのPTSDに悩まされる兵士の中には、自ら死を選ぶ者も少なくない。
だが、ロバートの遺体が発見された周辺には、全く血痕が残されていなかったのだ。
果たしてロバートの死は自殺か?それとも他殺なのか?