1983年1月…
62歳のテリー・マクルーはカリフォルニア州のホテルで行われる息子ティムの結婚式へ出席した。
息子の新たな門出を祝ったテリーは自宅へ戻る前に結婚式の参加者たちと、近くのカジノでギャンブルを楽しんで行くことにした…
カジノから失踪した母親
結婚式の翌日、大勢でギャンブルを楽しんでいたはずのテリーは、いつの間にかカジノから姿を消し行方がわからなくなってしまった。
自宅へ戻った様子もなく全く連絡がつかないので、息子のティムは警察に母の捜索を依頼。
それから2日後…
警察が行方を追っていたテリーは失踪したカリフォルニア州の隣、ネバダ州カーソンシティにあるカジノの駐車場で遺体となって発見された。
車の中から発見されたテリーは、何者かに頭部をピストルで2発撃たれていた…
容疑者は被害者の息子
事件の容疑者として警察が疑いの目を向けたのは、息子のティムだった。
テリーの死亡時に支払われる1万ドルの保険金の受取人がティムだったことに加え、彼の供述には妙な違和感があったと言う。
「結婚式が終わった後に、みんなでギャンブルを楽しんでいたけれど、夜になって母が車で帰宅すると言い出した。俺は駐車場まで送り届け、その後はカジノに戻って一人でギャンブルをやっていた」
このようにティムは供述したが、彼のアリバイを裏付けることが出来る人は誰もいなかった。
そこで、新婚の妻とティムはポリグラフテスト(嘘発見器)にかけられたのだが、両者から偽証を示す反応が確認された。
二人は何か嘘をついている可能性が高い…
最も動揺が見て取れたのは、ティムが母親の使用しているクレジットカードの会社に問い合わせて、利用停止を申請していたことについて聞かれた時だった。
「カード会社に連絡したのは母が亡くなって3日後のことだ。カード会社の社員が日付を間違って書き込んだんだよ」
実際にはティムが連絡を入れたのはテリーが失踪する直前。これは明らかな偽証だったのだが…
未解決事件容疑者からの挑発
テリーの謎めいた死から数年後、ティムはテレビ局の未解決事件を特集する番組に自分の母親の事件を売り込んだ。
これが挑発行為だと激怒した警察は、母親殺しの容疑でティムを逮捕。
しかしネバダ州の検察は「証拠が不十分なので、起訴を見送る」と判断し、裁判でティムの容疑が審議されることはなかった。
この一件で、今後新しい証拠が出てこようと、ティムは母親殺しの容疑で再び起訴されることはなくなってしまった。
一体カジノでギャンブルに興じていたテリー・マクルーの頭部に2発の銃弾を撃ち込んだ真犯人は誰だったのか…?