ある日突然、人が姿を消す。
まるでドラマや映画のような失踪事件が世界中で報道されている。
捜索の結果、失踪者が見つかることもあれば、発見はおろか「失踪した理由さえも明らかにならない」まるで神隠しのような不可解なケースも少なくない。
世界で発生した膨大な失踪事件の中から、特に謎めいていて不気味な未解決事件をピックアップ…
未解決失踪事件1「地方検事と壊れたパソコン」
2005年4月15日。
アメリカのペンシルバニア州で地方検事をしていたレイ・グリカーは、ガールフレンドに電話をかけ「ちょっとドライブしてからすぐ帰る」と伝えた。
しかし、彼が帰宅することはなかった。
それどころから、警察によって広範囲に渡る捜索が行われたが、その後レイの姿を見た人は誰もいない。
突然の失踪後、彼が乗っていた車は地元にあるアンティークショップの近くに駐車されているのを発見された。
さらに後日、釣り人が地元の河川敷でレイの使用していたノートパソコンを発見。
しかし、損傷が激しくデータを復元することは出来なかった。
レイ・グリカーは自分でパソコンを壊して姿を消したのか?
それとも、別の人物がレイのパソコンを壊し彼を連れ去ったのか?
後に奇妙なことが明らかになった。
レイの自宅にあったパソコンの検索履歴を調べたところ、「ハードディスクを破壊する方法」「ハードディスクの乾かし方」「ノートパソコンへの水のダメージ」といったワードが検索されていた。
これはレイ自身が調べたのか?
何者かが彼の家に侵入して調べたのか?
今となっては定かではない。
そのまま行方がわからなくなっていたレイ・グリカーは、2011年をもって法的に死亡が認められた。
未解決失踪事件2「幽霊船と25名の船員」
1955年
25名の船員を乗せたMVジョイタ号はサモア諸島を出発し、2日間の航海でトケラウ諸島へ向かう予定だった。
しかし予定日を過ぎ、出港から4日目になっても目的の港へ到着しないことから、ジョイタ号の捜索が行われた。
が、船も乗組員も貨物も何一つ発見されることはなく、捜索は打ち切り。
遭難信号も出さずに姿を消したジョイタ号は、出港から1ヶ月後に船体が発見された。
出港したサモア諸島の港から600マイル(約965km)離れた海上に浮かんでいるのを発見されが、船内には25人乗っていたはずの船員の姿が皆無。
船の中からは、救命艇、航海日誌、ナビゲーション装置がなくなっていたが、一体、船員たちの身に何が起きたのか、理由がハッキリしない。
また、後にジョイタ号は遭難信号を出していたが、配線不良のため、周囲わずか2マイルまでしか届いていなかった事は判明。
何らかの理由で船員たちは船を捨て、救命ボートで脱出したと思われるが不自然な点も多い。
まず、船体には何かが衝突したような形跡が残されていたが、船が浸水して沈んでしまうような深刻なダメージではなく、発見時にも船は海上に浮かんでいた。
船を捨てたとしても、空から捜索を行った時に救命ボートが全く見つからないのは不自然にも思われる。
そして船の全ての窓は割られていて、複数あった時計は全て10時25分で止まっていた。
一体、ジョイタ号に何がおきたのか?
神隠しや犯罪絡みなど色々な説が噂されたが、今でも事件は謎のまま。
未解決失踪事件3「嵐の中に消えた9歳の少女」
2000年2月14日の早朝3時頃、ノースカロライナに住んでいた9歳のアーシャ・デグリーが姿を消した。
その日は嵐のように激しい雨と風が吹いていたにも関わらず、アーシャはバックに身の回りのものをつめて、家族に何も告げずに家を出ていったのだ。
同時刻、大雨のハイウェイ沿いで一人歩いている少女の姿を、何人かのドライバーが目撃している。
アーシャが住んでいた自宅から2kmほどの地点で少女を目撃したドライバーは気がかりになってUターンしたが、彼女は道路沿いから外れて木の生い茂る側道の方へ逃げてしまったと言う。
その日の午前中に娘の失踪に気付いた両親の通報で、警察による大規模な捜索が始まった。
もともとアーシャは内気で、嵐や暗がりを怖がるような少女。親の決めたルールに素直に従う性格だったため、突然家出をするなんて両親には全く心当たりがなかった。
彼女の意思で家出したのか?
誰かにそそのかされたのか?
9歳の少女の失踪はメディアでも大々的に取り上げられ情報提供も求めたが、失踪以来アーシャの姿を見た人は誰もいない。
失踪から1年半後、彼女が自宅を出る時に持っていたバックが、ハイウェイ沿いの建築現場の地中から発見された。
それはアーシャが自分で埋めたのか、それとも他の誰かが埋めたのか…?
未解決失踪事件4「大胆な誘拐犯」
1990年10月12日…
マリア・マルチネスは、地元アリゾナ州のローカルラジオ番組に電話出演して、自身のベビーシッターの仕事をPRした。
放送から間もなく、ラジオ局に「明日、彼女へ仕事を頼みたい」と男性から連絡が入り、マリアはオファーを快諾した。
翌日、電話で仕事を依頼してきた男性がマリアの自宅へ車で迎えにやってきた。
それから数分後、マリアの両親の元に電話がかかってきた。
「助けに来て!!誘拐されてしまったの!!!」
マリアからの助けを求める電話は、場所や状況を伝える前に切れてしまった。
それ以来、マリアの姿を見た人は誰もいない。
警察による大規模な捜査が行われたが、大胆にもラジオ局へ電話をかけてきた誘拐犯の男が誰だったのか、その手がかりさえ掴めなかった。
未解決失踪事件5「姿を消した発明王」
19世紀のフランスで最も影響力のある人物として、認知されていた発明家ルイ・ル・プランス。
単レンズカメラを使った世界初の動画撮影を成功させた人物で、類稀なる知識と才能の持ち主だった。
が、ある日ル・プランスは、まるでミステリー映画のような謎を残して姿を消してしまう。
1890年9月16日
ル・プランスは旅行先のアメリカから当時住んでいたイギリスへ帰国する途中、フランスに立ち寄って友人や家族に会いに行く予定だった。
そのためル・プランスはパリに向かう列車へ乗車。
しかし列車がパリへ到着し友人たちが出迎えに訪れていたが、ル・プランスは一向に姿を表さない…
乗車していたはずの列車内を隈なく探してもル・プランスの姿はなく、まるで煙のように消えてしまった。
彼が乗っていた個室の窓はロックされていたので、そこから外に出た可能性は低く、周りの乗客で不審な出来事に気付いたのは一人もいなかった。
一体、天才発明家の身に何が起こったのか?
ル・プランスの失踪には様々な憶測や陰謀論が語られている。
この時、ル・プランスは金銭トラブルを抱えていたため、何らかのトリックを使って自殺をしたのではないか?
ル・プランスはカメラの特許を巡ってアメリカのエジソンと揉めていたため、暗殺されたのではないか?
金銭問題に家族を巻き込まないため、自ら姿を消したのではないか?
その後、ル・プランスは1897年に死亡認定されたが、その失踪劇は未解決のまま…
未解決失踪事件6「ハリウッド女優と謎のメモ」
ジーン・スパングラーは、ハリウッド黄金時代の女優で、その美貌で一躍スターとなった。
が、そんな彼女は突然姿を消した。
1949年10月7日
ジーンは別れた夫と子供の養育費のことで話し合う予定だったが、約束の場所に姿を現さず全く行方がわからなくなってしまった。
警察が必死に捜索すると彼女の財布が発見されたのだが、その中にはジーンが書いたと思われる奇妙なメモが入っていた。
カーク、もう待てない。
スコット博士を見に行く。
母親がいなくても、この方法ならうまくいく
このカークとは誰なのか?
候補として上がったのは、当時、ジーンと映画で共演していた名優カーク・ダグラス。
疑いを向けられたカーク・ダグラスだが、彼とジーンは親しい間柄ではなかったそうだ。
そしてもう一人、捜査線上に名前が上がったのは妊娠中絶医のカークという医者。
このカーク医師には、元患者の女性を脅迫した前科もあった。
しかし、決定的な証拠や真犯人は見つからず、現在もジーン・スパングラー失踪事件は未解決のまま。
未解決失踪事件7「アイリーン・モア灯台事件」
1900年12月…
イギリスのスコットランド沖にあるアイリーン・モア島の灯台に、住み込みで働いていた男3人が謎の失踪を遂げた。
もともとアイリーン・モア島の周辺は海の難所として知られていて、天候の悪い夜の航海には灯台の光が欠かせなかった。
まさに絶海の孤島で、3人の他には誰も住んでいないため、2週間おきに灯台守の男たちへ食料や水が届けられることになっていた。
しかし、1900年12月26日に定期船がアイリーン・モア島へ到着すると、そこには誰もいなかった。
緊急時のためのボートは残されていて、灯台の内部が荒らされた様子もないし、仕事を放棄して逃げ出すような男たちでもなかったと言う。
調査の結果、3人のうちの1人が書いていた日誌が発見された。
12月12日
北西から暴風雨。全て順調。デュカットが怒りっぽい。
12月13日
相変わらずの暴風雨。デュカットはとても静か。マッカーサーは祈りを捧げている。
12月15日
嵐が静まった。神はどこにでもいる。
日誌は、そこで終わっていた。
しかし、日誌には12日、13日と天候が悪かったと書かれているが、実際には、嵐のような暴風雨が吹き荒れたような事実はなかったそうだ。
また、同僚の行動を観察しているような記述が不自然だと指摘する声もある。
果たして彼らは絶海の孤島から、どこに消えてしまったのか?
未解決失踪事件8「消えたシルク王」
1967年5月26日。
かつてCIAの前身となるOSSに在籍していたジム・トンプソンは、タイでハイキングに出かけ、そのまま姿を消してしまった。
当時、ジムはタイに移住してシルク工場の経営して成功を収め「シルク王」とまで称されていた。
ジムは軍隊で特殊訓練を受けたサバイバリストで、普通の人が音を上げるような厳しい環境も乗り越えるスキルを持っていた。
そんな彼は、どこに姿を消したのか?
失踪当日は、彼はそれほど長距離のハイキングを予定していなかったようで、自宅からは薬やタバコなども持たずに出かけていたことが明らかとなり、遠出して道に迷ったという可能性は低い。
事件の仮説として根強いのは、ジムが身代金目当てで誘拐されたという説、失踪したと見せかけて、ジムは身分を隠して裏世界の住人になったという陰謀論…
だが、恐らく真相が明らかになることはない。
未解決失踪事件9「空に消えた兵士」
1942年の夏…
アメリカのサンフランシスコ郊外に位置する小さな町で事件が起きた。
上空から飛行船がゆっくりと降下してきて、送電線に絡まってしまったのだ。
この影響で、周辺地域への電力の供給が止まってしまい大きな被害をもたらしたが、町の住民たちは飛行船に乗っている人達を助け出そうと救出を急いだ。
やっと送電線に絡まっていた飛行船を地上に降ろし船室を確認したのだが、不思議なことに、そこには誰も乗っていなかった…
内部に目立った乱れはなく、ラジオやエンジンは正常に作動。
更に、パラシュートも救命艇も残されていたので、乗組員が上空の飛行船から消えた方法や理由は誰も説明することが出来なかった。
問題の飛行船はアメリカ海軍が所有していたもので、その日の朝、アーネスト・コディ中尉とチャールズ・アダムス少尉が乗り込んで、基地を出発したはずだった…
飛行船は修理され、そこから40年間使用されたが、消えた二人の兵士は二度と戻らなかった。