宇宙人による地球人の誘拐、連れ去り事件、いわゆる「アブダクション」の噂は、誰もが聞いたことあるはず。
そもそも、UFOや宇宙人の存在を信じるかどうかで、アブダクションについても意見が大きく分かれる。
が、かつてカナダで発生したUFOとの関連が色濃い失踪事件は、今でも未解決のまま謎に包まれている。
裏庭にUFOを自作した男
今から30年以上前の話。
カナダ南西部のブリティッシュコロンビア州に位置するバンクーバー島に。グレンジャー・テイラーという男がいた。
グレンジャーは、今で言う「コミュ障」で、周囲に馴染めず高校をドロップアウト。しかし、メカニックの才能に長けていて、14歳で自動車を組み立ててしまうほどだった。
その才能を活かし、自宅で両親と同居しつつ、グレンジャーは自作の機械を製作したり、家電製品の修理を請け負うようになった。
しかし、両親が気がかりだったのは、グレンジャーの奇妙な発言が徐々に増えていったこと。
「僕のところに宇宙人が絶え間なくコンタクトしてくるんだ」
「彼らは僕を別の惑星に連れて行ってくれると約束してくれたよ」
さらに、グレンジャーは自宅の裏庭に、まるでUFOのような別宅を自作し、そこに家具やテレビを持ち込んでくつろいだ。
本当にグレンジャーは宇宙人と交信していたのか?
それとも、ただの誇大妄想か?
今となっては確かめる術もない。
グレンジャー・テイラーは32歳の時に忽然と姿を消してしまったからだ…
UFOを残して嵐の夜に失踪
1980年11月29日。
この日、バンクーバー島は嵐で大荒れだった。
にも関わらず、グレンジャーは両親に奇妙なメモを残し、姿を消してしまった。
「お父さん、お母さん、僕はエイリアンの船に乗って、長年の夢だった宇宙探索に行ってきます。宇宙には必要ないので、僕の荷物は残していきます。説明書を読んで使ってください。グレンジャーより愛をこめて」
両親の通報によって、カナダ全土で警察が大掛かりな捜査を行った。
病院のカルテ、パスポート、雇用関係、車両記録など、あらゆる可能性を視野に入れて捜査したが、グレンジャーの手掛かりや目撃情報は皆無だった。
息子が帰宅することを期待して、両親は毎晩自宅の裏口を開けておいたが、嵐の夜から一度も姿を表していない。
数年後、父親のジムはこう振り返った。
「息子が宇宙船でどこかへ行ってしまったなんて、今でも信じられません。しかし、もし空飛ぶ物体が浮かんでいたら、そこに息子がいるのかもしれない」
この一件は、陰謀論好きの間では「宇宙人による地球人拉致事件」として、語られることも多い。
理由の一つは、大掛かりな捜査にも関わらず、警察はグレンジャーの痕跡を全く見つけることが出来なかったからだ。
まるで、地球から消えてしまったかのように…
しかし、事件から数年後にグレンジャー失踪の手掛かりが発見される。
ダイナマイトの爆発跡から見つかった人骨
1986年3月31日。
この日のカナダの地方新聞には「5年前に失踪したグレンジャーの可能性がある人骨の一部が発見された」との記事が掲載された。
なんと、その人骨が発見されたのは、彼が住んでいた自宅からほど近い山の中。
そこにダイナマイトが使用された痕跡が残っていて、人骨が埋もれていたのだ。
もしかすると、グレンジャーは宇宙人と地球を脱出したと見せかけ、山中でダイナマイトを使い、この世を去ったのかもしれない。
しかし、その後、発見された人骨がグランジャー本人のものだと確認されたのか、続報は出ていないそうだ。
もし、グランジャーの人骨でなければ、彼は今でも宇宙でUFOの中にいるのかもしれない。
【追記】
このグレンジャー・テイラー失踪事件のドキュメンタリー映像が、現在制作進行中だと言う…