砂浜に色とりどりの何かが、打ち上げられている…
よく見ると、それは大量の洋服。
現在、西アフリカのガーナの海岸には膨大な量の洋服が漂着して、大きな問題となっています。
実はこの洋服のほとんどは、先進国の人々が良かれと思って寄付した古着なのです…
先進国が寄付した大量の古着が途上国の環境を汚染
新しい服を買うことも出来ないほど、生活が困窮している人たちのため、もう着なくなった服を寄付した経験のある人も多いでしょう。が、寄付した服が必ずしも人助けになっているわけでは、ありません。
ガーナでは善意の寄付で集まった古着を、主にイギリスからタダ同然の安値で大量に輸入しています。
輸入業者は、大量の古着を「ブランド品、素材の良いもの」と「ファストファッションの安物、素材が悪いもの」に仕分けます。
価値あるものは市場で販売されますが、材質の悪いファストファッションブランドなどの安物は、どうせ売れないのでゴミ捨て場に直行。
ゴミ捨て場に放置された大量の古着が、河川や海に流れ込み、水の中で腐っていくのです…
慈善団体の調査によれば、先進国からガーナに輸出された古着の40%以上が、誰にも着られることもなく、ゴミとなって環境汚染の原因となっているそうです。
死んだ白人の服
動画のビーチは、ガーナの首都アクラにある、もともとは美しい砂浜。地元の住民は漁業で生計を立てていたけれど、今では数千トンの古着が水路を塞き止めてしまうなど、生活への支障甚大。
現地では、環境を汚染する大量の古着を「Obroni W’awu(死んだ白人の服)」と呼んでいるそうです…
ガーナで環境汚染問題に取り組んでいるリズ・リケッツさんによれば「ファストファッションの流行で大量に衣服が生産されていますが、その多くは、古着で誰かが再び着ることを想定していません。ガーナの輸入業者は、低品質な服は売れないと判断して捨ててしまうので、多くの服が川や海で腐って環境を汚染しています」とのこと。
また、海外から古着の輸入が増えたことで、地元ガーナで服を生産していた人たちは大打撃を受け、多くの人が仕事を失ってしまったとか。