メキシコのチワワ州に位置する都市クアウテモックでは、障害者や社会的に恵まれない人たちから市の職員への苦情が相次ぎ、カルロス・テナ市長は頭を悩ませていた。
本来なら弱者に寄り添うべき地方公務員の態度が悪かったり、差別的な発言も少なくないと言う。
「市民から寄せられている苦情は本当なのか?」
カルロス市長は自分の目で確かめることにした!!!
市長が障害者に変装して抜き打ちチェック
ニット帽、タートルネックのセーター、サングラスを身に着け、車椅子に座る具合の悪そうな高齢の男性…
実は、この男性こそ変装したカルロス市長。
市長は自らが障害者に変装して、市の職員たちの対応を抜き打ちチェックすることにした。
もちろん、これは身近なスタッフにも内緒の極秘ミッション。
身バレしないよう念入りに変装した市長は、車椅子で市の福祉局や市庁舎を訪れ、職員の対応をチェック。
「何か食べ物をいただけませんか?」
車椅子の男性が市長だと知らない職員たちは、親身に話を聞くどころか、訴えを無視したり追い出そうとする者まで…
市長は、普段、自分が公務を行っている市庁舎にも出向いて「市長や市議会長官と話がしたい」と訴えたが、職員の対応は最悪で、廊下で1時間半以上も待たされた。
この抜き打ちチェックで、カルロス市長は市民からの苦情が正しかったことを確信。
自分を邪険に扱った市の職員達の前で変装を解いて本来の姿を表すと、周りの職員たちは愕然…
市長自らが行った覆面捜査はメディアでも取り上げられ大きな話題となった!!!
弱者のためにガチンコで戦う市長
「今回の実験の目的は、市民が毎日受けている公務員の対応を明らかにすることでした。最初は半信半疑でしたが、弱者に対する無視や無関心は酷いものでした」
メキシコの新聞エルドラドは次のように報じた。
カルロス市長は、これまでにも社会的弱者たちに平等な権利が与えられるように奔走してきたが、その思いは共に働く公務員には全く届いていなかった。
「私自身、市の職員に無視され、差別され、本当にガッカリしました。全員が同じ態度ではありませんが、市民に対する酷い行為が二度と起こらないよう、徹底的な措置をとっていきます」