身元不明の焼死体「イスダルの女」に共産主義国のスパイ疑惑

1970年11月29日…

ノルウェー西部の都市ベルゲンに位置する、イスダレン渓谷でハイキングをしていた家族が、岩場の影に横たわる女性の遺体を発見した。

現場となったイスダレン渓谷は中世の頃から自殺者が絶えず、地元の人達から「死の谷」と呼ばれていた曰く付きの場所…

未解決事件イスダルの女

未解決事件「イスダルの女」

未解決事件イスダルの女

「周辺には、肉の焼け焦げたような悪臭が漂っていた」

現場検証にあたった警察官のカール・ハルボーのコメント通り、遺体は顔の判別ができないほど、ひどく焼けただれていた。

ただ、炎が全身に燃え移ったわけではなく、彼女の背中には全く火傷の痕がなかった。

遺体発見現場の周辺には、ピンク色の錠剤、袋詰めされた昼食、空の酒瓶、ガソリンの入っていた2本のペットボトル、焼け焦げたパスポート、腕時計や宝石類が、何かの宗教儀式のように整然と配置されていた。

 

不思議な事に、遺留品は多く発見されたにもかかわらず身元特定につながるものがなく、謎の焼死体は発見現場のイスダレン渓谷にちなんで「イスダルの女」と呼ばれるようになった。

あまりに不審な死を遂げたイスダルの女について警察は大掛かりな捜査を行ったものの、謎は深まっていくばかりだった…