凄惨な暴行と遺体の解体
すぐに現場へ大勢の警察官が駆け付け、殺人事件として捜査が始まった。
調査の結果、冷蔵庫の中に入っていた大量の肉の塊は被害者夫婦の遺体だと明らかになり、「冷蔵庫殺人事件」はセンセーショナルに報道され全米の注目を集めた。
検死によって妻のエドウィナは酷い暴行を受けた後に頭部へ銃弾を打ち込まれ、夫のフレッドは頭部をハンマーで殴られていたことが判明。
犯人は被害者の夫婦を殺害後、浴室で遺体をバラバラにし、わざわざ冷蔵庫へ保管して現場を立ち去ったのだ。
殺人事件で犯人が遺体を解体する目的は、大抵が「捨てる時に持ち運びやすくするため」もしくは「遺体の身元を分かりにくくするため」だが、このケースはどちらにも当てはまらない。
人間の遺体を解体するのは重労働で時間もかかる。どこか離れた場所に遺棄するつもりがないなら早く現場から立ち去る方が得策に思えるが、犯人の目的は何だったのか?
最重要容疑者の失踪
この事件で真っ先に容疑をかけられたのは、被害者夫婦と同居していた43歳の息子チャールズ・ロジャース。
チャールズは大学で核物理学の学士も取得したインテリ。アメリカ海軍情報局に所属していたが、1957年に一切理由を明かさないまま辞職し、事件当時は無職。
そして、冷蔵庫殺人事件後にチャールズ・ロジャースの姿は一度も目撃されていない。失踪してしまったのだ。
自ら行方をくらましたのか?
それとも夫婦と同じくチャールズも事件に巻き込まれたのか?
その辺りの事情は一切明らかにならないまま、事件から10年後の1975年に地元の裁判所はチャールズを法的に死亡認定している。
あまりにも理不尽な冷蔵庫殺人事件は現在でも未解決のままだが、容疑者チャールズ・ロジャースにはアメリカの歴史に残る重大事件に関与していた疑惑が…