2015年に中国で公開されたアンディ・ラウ主演の映画「失孤」は、実際に起きた誘拐事件をベースにした作品。
アンディ・ラウ演じる主人公の父親は、2歳の時に誘拐された息子を探し出すため、バイクに乗って広大な中国を駆けずり回る。
この映画「失孤」の元ネタになった誘拐事件が、ついに解決した。
実際にバイクで途方も無い距離を移動していた被害者の父は、24年の時を経て息子と再開を果たした!!!
映画のモデルになった誘拐された息子をバイクで捜索する父
中国では「一人っ子政策」が実施された1979年以降「金を払ってでも跡取りとなる男の子供が欲しい」という親が急増。そのため人身売買目的の誘拐が多発。毎年2万人以上の幼い子供が誘拐被害にあっていたと言われている。
1997年、山東省に住むグオ・ガンタンさんの2歳の息子ジェンも、自宅の目の前で何者かに連れ去られてしまった。
「おそらくは人身売買目的の誘拐。それなら、息子は中国国内のどこかの家庭に売られたに違いない」
グオさんは息子を探し出すためバイクに乗って旅に出た。荷台に息子の写真をプリントした大きな旗を掲げて、町から町を移動して、橋の下で野宿しながら手がかりを探した。
誘拐された子供7人を発見
誘拐された息子を探して中国全土を駆けずり回るグオさんは、合計50万kmもの旅の途中で、同じ境遇の誘拐被害者の子どもたちを発見。
幼い頃に誘拐された7人の子供を助け出し、親との再開をアシストした。
ただ、本来の目的である息子ジェンの発見には至らなかった。が、遂に奇跡が起きた…
警察がDNAから誘拐被害者を追跡
一方で、警察も残されていた2歳当時のジェンのDNAを解析して行方を追跡。
すると、同じDNAを持った人物、河南省で教師をしていることを突き止めた。
その教師こそが、26歳になったグオ・ジェンだったのだ。
1997年の誘拐事件当日、両親が目を離したすきに1組のカップルが2歳のジェンを連れ去った。カップルは、そのまま河南省へ向かい、金銭目的で2歳の幼児を売り飛ばしたのだ。
その後、ジェンは河南省の家庭に引き取られた。そして自分が誘拐の被害者だと知らずに成長。やがて大学を卒業し教師となった。
そんな立派に成長した息子と白髪の増えた父と母が、2021年7月11日、24年ぶりに再会を果たした。
映画でグオさんをモデルにした主人公を演じたアンディ・ラウも、オンライン動画を投稿して家族の再会を祝福。グオさんの執念を称賛した。
中国では2016年に誘拐にあった子どもたちのDNAデータベースが立ち上がり、これまでに2600人もの被害者を発見。両親や親族との再会を果たしている。