近年、イタリアでは行方不明者が増加していて、毎年3万人以上の行方がわからなくなっている。
大部分の行方不明者がニュースとして取り上げられることもない中、この女性に注目が集まったのには大きな理由があった。
それは、彼女がイランの王家の血をひく大富豪だったからだ。
心を病んだ大富豪
イランで生まれたアリアナ・レイクさんは、子供の頃にイギリスのロンドンへ移住。
名門ケンブリッジ大学、チェルトナム・レディース・カレッジを卒業した秀才で、4つの言語を操り、映画業界で働いていた。
しかし実は、アリアナさんはイラン王家の子孫で、莫大な資産を持つ大富豪。
そんな彼女が、イタリアで宿泊していたミラノのホテルで目撃されたのを最後に姿を消してしまった。
金銭目的で事件に巻き込まれたのか?
まるで神隠しにでもあったように、アリアナさんの行方には何も手がかりがなかった。
ただ、姉妹のレイラさんの証言によれば、アリアナさんは深刻な心の病を抱えていたと言う。
「彼女はとても明るく活発な性格したが、非常に傷つきやすい繊細な面もありました。2016年1月に彼女の携帯が繋がらなくなり、ロンドンで住んでいたアパートにも戻ることなく、家族は連絡を取ることが出来なくなっていました」
20代の頃から統合失調症と双極性障害の症状に苦しんでいたが、自分の考えを曲げないアリアナさんは、医師の処方する薬を飲むことを頑なに拒否していた。
一刻も早いアリアナさんの発見を願う家族は、私立探偵のチームを雇い、イタリアで捜索を開始した。
その結果、アリアナさん失踪事件は思わぬ結末を迎える…
ホームレスになっていた王家の子孫
失踪から1年半以上が経過した頃、家族に雇われていた私立探偵が多くの人が行き交うミラノの広場でアリアナさんを発見した。
アリアナさんは錯乱し酷く怯えた状態だったが、自分の名前には反応。
その後、本人から話を聞く、驚きの事実が明らかとなった。
「詳しく説明することが出来ません…たぶん…私は歩いていて…強盗に襲われて…地面に頭を強く打ち付けたんだと思います…」
ホテルを出た後にアリアナさんは強盗に襲われ頭を強打。その影響で今でも当時の記憶が曖昧だと言う。
そこからアリアナさんは、これまでの何不自由ない暮らしには戻らず、ミラノの路上でホームレス生活を送るようになった。
「私はミラノを愛しています。住人や通行人、ボランティアの人たちが手を差し伸べてくれましたが私はお断りしました。何もしたくなくて…お断りしました」
ずっと抱えていた心の病や、強盗に襲われたショックから元の生活に戻ることが出来なくなってしまったアリアナさんは、発見された後もイギリスへ戻ることを拒否しているとか。
「彼女は強い意志の持ち主で、今は深刻なほど心を病んでいます。医者の診察も拒否しているし、イギリスにも帰りたがらないので家族はとても心配です」
良家に生まれて莫大な資産を相続するのも、庶民にはわからないストレスがあるのかもしれない…