ドイツ在住のマーク・ウーベンホーストさんは35歳の建築家。
見た目は普通の中年男性ですが、マークさんには生きていくため「絶対に欠かしてはいけない事」があります。
それは「毎日20リットルの水を飲む」事。
成人男性が一日に補給すべき水分量は「1.5リットル」と言われていて、これを仕事時のコーヒー、食事中のジュース、ミネラルウォーターなどで少量ずつ体内に取り込んでいくのが普通。
となると、マークさんが1日に飲んでいる水の量が尋常では無いことがわかるはず。
なぜ彼は、そんな大量の水分を補給しなければならないのか?
実はマークさんは、生まれつき難病を抱えていて「1日20リットル水を飲まないと脱水症状で死んでしまう危険性がある」そうなんです…
難病「尿崩症」とは?
マークさんが大量の水を飲まなければならないのは、生まれつき「尿崩症」と呼ばれる非常に珍しい疾患を患っているため。
「尿崩症」とは、腎臓の水分再吸収機能が低下して、普通なら体内に取り込まれるべき水分が、大量の尿として排出されてしまいます。
このため、マークさんは24時間で平均50回もトイレに行かなければならないほど頻繁に尿意をもよおし、大量に水を飲まなければ激しい喉の渇きを引き起こすことになるのです。
もし1時間以上、水を飲まずに喉の渇きを無視すれば、マークさんの肉体は脱水症状が始まり、口唇がみるみるカサカサになり、目眩やパニックに襲われてしまう。そして最悪の場合、数時間で死亡してしまう可能性もあるとか…
マークさんの日常
ものごころ付く前から喉の渇きと戦っていたマークさんは、朝目を覚ますと、まず特大のボトルに入れた水を飲み干し、すぐにトイレに行き、また水を飲む。
仕事場へ向かうときも、仕事中も水を飲み続け、夜間に寝ているときでも喉の渇きや尿意で目が覚めるため、これまでマークさんは2時間以上眠り続けた経験がないそうです。
仕事やプライベートの予定を決めるときでも、常に、自分の尿崩症を意識しなければならず、例えば、飛行機での長距離移動などは、緊急事態に水が確保できない場合もあるので、遠出することは諦めているとか。
「私にとって長距離移動やスポーツをプレイすることはは問題外なんです…」
常に喉の渇きを意識しながら生活しているマークさんですが、過去にはちょっとしたアクシデントによって死にかけてしまったことも…
電車トラブルで脱水症状…
日常のちょっとしたトラブルで、マークさんには死の危険が忍び寄ってきます。
ある日、事務所で仕事を終え、夜遅くに電車で帰宅していた時のこと。
その日はうっかり水を入れたボトルを携帯するのを忘れてしまったそうです。
自宅までの乗車時間は、それほど長くないので、例え水を飲まなくても心配するほどではないのですが、その日に限って電車が故障して途中停車。
車内に閉じ込められて長時間水を飲むことが出来ない状況に直面してしまいました。
ようやく電車が動き出し、次の駅で下車した時には、すでに重度の脱水症状に陥っていたそうで、マークさんは混乱し取り乱してしまいました。
幸運なことに、下車した駅にはマークさんの病状を知る親しい友人がいたため、すぐに水を調達してもらい、症状は回復したそうですが、人生でも最も辛かったそうです。
地元に貢献
マークさんは遠くへ旅行することは出来ないのですが、地元を心から愛していて、長年、地域のコミュニティプロジェクトにも参加。
様々な人種の人達が交流するイベントなども企画主催しているそうです。