44歳のレイチェル・ヒンクスさんはやむを得ない訳あってイギリスの都会での生活を捨て、田舎でひっそりと暮らしている。
それは「都会での生活に疲れて…」などの田舎移住あるあるではなく、もっと切実な問題だった。
なぜなら、そこら中を飛び交うWi-Fiの電波がレイチェルさんを苦しめるからだった。
Wi-Fiアレルギーの苦痛
レイチェルさんの身体に異変が起き始めたのは、今から2年ほど前。
最初は、頭に何かが刺さるような鋭い痛みの頭痛に襲われるようになり、頻繁に目眩や動機が悩まされ、次第に日常生活へ支障をきたすようになっていったそうだ。
その苦痛の原因こそ、今では当たり前となったWi-Fiの電波なんだとか。
「過去6ヶ月間、私はWi-Fiの届かない場所を探して車の中、森の中のテントなどで寝泊まりして生活していました。10年前とは比較できないような生活を送っている私には、社会的に交流のある知り合いも、ほとんどいません。ただ少しでも電磁波から離れて苦痛を和らげるために、ウェールズの田舎まで、やってきたんです」
おそらく殆ど人は、Wi-Fiの電波が飛んでいることを肉体的に実感した経験なんてないだろう。
しかし世界には、Wi-Fiや携帯電話などの電波によって体調を崩してしまう「電磁波過敏症」という症状に悩まされている人達が増えている。
この電磁波過敏症の症状は人によって様々で、皮膚に痛みやかゆみを訴える人、頭痛、疲労、めまい、吐き気を覚える人などが確認されている。
ただ「電磁波過敏症が本当に存在するのか?」はハッキリしていない。
電磁波過敏症を巡っては、国や機関によって意見が異なる。
Wi-Fiアレルギーや電磁波過敏症なんて存在しない?
イギリスの公衆衛生局によれば「電磁波過敏症によって人々が健康被害を受ける科学的な根拠は無い」と指摘。
世界保健機構WHOも「医学的診断基準はなく科学的根拠はない」と否定的。
一方、カナダやスウェーデンなどでは電磁波過敏症が障害として認定されている。
イギリスに住むレイチェルさんは、国が電磁波過敏症を認めていないため、何らかのサポートを受けることも出来ず、ただWi-Fiの電波が届かない地を目指して転々とするのが現状。
「電磁波フリーな安全な場所を探して寝泊まりしていましたが、肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまいました。今は友人が売りに出しているコテージを曲がりさせてもらってますが、いずれ出ていかなくてはいけません。次にどこへ行けばいいのやら…」
現在、レイチェルさんはWi-Fiから逃げつつ生活するため、キャンピングカーの購入を検討しているとか。
そのため、ネット上でキャンピングカー購入資金の寄付を呼びかけているが、ゴールはまだ遠いようだ…
いつの日か、レイチェルさんに安息の日は訪れるのか?