イングランド南東部の都市ブライトンで、あまりにも理不尽な事件が起きた。
25歳の女性医師リム・アラウィが自宅で過ごしていると、玄関のドアがノックされた。
出てみると、そこにはフェイスガードをした小太りの黒人女性が立っている。彼女がメモを差し出したので読もうとすると、いきなりマグカップの中に入っていた液体を頭から浴びせられたのだ。
後に、リム・アラウィがかけられた液体は硫酸だったことが明らかとなる。
若き女性医師は、アシッドアタックの標的になってしまったのだ…
アシッドアタックで女性医師が失明
液体を浴びせた謎の黒人女性は、すぐに現場から逃走。
頭から胸にかけて激痛に襲われたリム・アラウィは、洗面台で液体を洗い流し、すぐ自身が勤めている病院へ搬送された。
リム・アラウィが浴びた硫酸は濃度が濃く重症。そのまま長期入院することになり、これまでに5度の手術を受けたけれど、現在でも首を動かすことも目を閉じることも出来ず、右目の視力を失ってしまった…
卑劣なアシッドアタックの犯人を捕まえるため、警察は被害者宅周辺の防犯カメラ映像を解析。捜査を進めていくと、一人の人物が容疑者として浮かび上がった…
容疑者として医学生の元彼を逮捕
警察の捜査で容疑者として浮上したのは、被害者リム・アラウィの元彼で、大学の医学部に通うミラッド・ルーフ25歳。
防犯カメラの映像から犯人の足取りを追っていくと、犯行後に量販店で新品の服を購入し着替えていたことが判明。
着替えをした犯人は、小太りの黒人女性ではなく、細身の男性。犯人は服の下に詰め物をしたり、メイクをして黒人女性に成りすましていたのだ。
更に、被害者リムから別れを告げられ破局したことを、ミラッド・ルーフが根に持っていたことも発覚。
警察がミラッドの自宅を家宅捜索すると、アシッドアタックのために買い揃える物のリストなどを発見した。
こうして、医学生ミラッド・ルーフは逮捕され裁判にかけられることになった。
アシッドアタック犯人に懲役15年
ミラッド・ルーフの弁護士は、彼が母親を亡くしたばかりで心神喪失状態にあったと主張して、減刑を求めた。
しかし裁判所は「容疑者ミラッドが綿密に犯行を計画し、悪意を持って元交際相手に硫酸をかけた罪は重い」として、懲役15年を言い渡した。