「引退後に一般人になって表舞台から消えた」というわけではなく、本当の意味で姿を消してしまった、失踪してしまったアスリートも、実は少なくない。
かつてNBAのスター選手として活躍したブライアン・ウィリアムズの失踪事件は、今でも謎だらけのままだ…
アスリート失踪事件「NBA選手ブライアン・ウィリアムズ」
1969年4月6日、後にNBAのスター選手として活躍するブライアン・ウィリアムズが、アメリカのカリフォルニア州フレズノで誕生した。
高校、大学時代からバスケットボールで頭角を現し、1991年のNBAドラフトでオーランド・マジックからの指名を受けて入団。
211cmの高身長を生かした守りと攻めで注目の選手となり、デンバー・ナゲッツ、ロサンゼルス・クリッパーズと移籍して、1996-97シーズンにシカゴ・ブルズと契約。NBAファイナルの優勝に貢献した。
その後、デトロイト・ピストンズへ移籍した後に、アメリカの先住民族にちなんでバイソン・デリと改名。チーム内でも最も金額の高い契約を結んでいたけれど1999年に30歳で突然引退してしまった。
海のど真ん中で失踪…?
バスケットボールの世界を離れた彼は、人生に変化を求めていたのかもしれない。引退するとすぐに船を購入。そのまま海に出ると世界を半周するほどの長い航海を成功させた。
2002年7月、ブライアン・ウィリアムズは当時付き合っていた彼女のセリーナ・カーラン、兄のマイルズ・ダボード、臨時で雇った船長バートランド・サルドと4人で航海に出た。
ウィリアムズの船でハワイのホノルルを目指していたのだが、タヒチ島の近くで何か恐ろしい事件が起きたようだ。
それまでウィリアムズは家族や知り合いと定期的に連絡をとっていたけれど、7月8日以降は完全に途絶えてしまった。
そして関係者が不安を募らせる中、7月20日に兄のダボードだけを乗せた船がタヒチに到着。
船に乗っていたはずの、ブライアン・ウィリアムズ、彼女のセリーナ、船長バートランドの姿はどこにも見当たらなかった…
3人は海のど真ん中で、どこへ失踪してしまったのか…?
元NBAスターは船の上で兄に殺された…?
元NBAスター選手の失踪事件は、FBIとフランス当局(タヒチがフランス領なので)が捜査を開始。
疑惑の目は、ただ一人残った兄ダボードに向けられた。
「姿を消した3人は海の上でマイルズに殺され、遺体は太平洋に捨てられたんじゃないか…?」
このように捜査員たちは推理したけれど、兄の犯行を裏付ける証拠は何も見つからない…3人の遺体も凶器も見つからないし、犯行動機が何なのかも分からない。
ダボードは犯行を否認して、船の上で何があったのか喋ろうとはしなかった。
結局、証拠不十分でダボードは釈放。事件は暗礁に乗り上げたまま、現在に至るまで何一つ謎は解けていない。
と言うのも、釈放から1週間後に兄ダボードは、宿泊していたホテルの部屋で意識不明となっているのを発見された。原因はインシュリンの過剰摂取だったが、これも事故だったのか故意だったのか不明。
結局、数週間の昏睡状態が続いた後に生命維持装置が外され死亡。
この世で唯一、偉大なNBA選手失踪に大きく関わった男が真実を墓場の中まで持っていってしまった…