ある真面目な体育教師は、世にも珍しい奇病が原因で仕事も家も失ってしまった。
彼の患っていた奇病、それは…
一滴も酒を飲んでいないのに、体内の微生物が勝手にアルコールを作ってしまうため、常に酔っ払った状態になってしまう「ビール自動醸造症候群」だ!!!
奇病「ビール自動醸造症候群」に苦しめられる男
フロリダ州に住むマーク・モンジャルドさん40歳は、もともと学校で体育教師をしていた。
しかし、ある時から「酒の匂いがする」「酔ってるように見える」など職場の同僚や生徒の親からクレームが入るようになった。
結婚して2人の子供も持つ真面目なマークさんは、仕事中に酒を飲んだことなんて一度もなかった。私生活でも極力酒を口にしないよう心がけたけれど、周囲はマークさんのアルコール中毒を疑った。
「何年もの間、妻は私が隠れて酒を飲んでいると疑っていました。ろれつが回らなかったり、フラフラしてたり、家の中でも常に酔っ払っているように見えていたみたいです」
2019年には一滴も酒を飲んでないのに2回も飲酒運転で警察に逮捕されてしまった。勤務態度が真面目だったので1度目は庇ってくれた学校も、2度目の逮捕で解雇されてしまった。
いくら「酒なんて飲んでない」と無実を訴えても警察に信じてもらえず、飲酒運転で起訴されてしまったので再就職先も見つからず、自宅まで手放すことになってしまった。
そんな人生のドン底で病院へ行くよう勧めてくれたのは実の母親だった。マークさんの母親は、息子を心配してネットで症状を検索したところ、勝手に体内でアルコールが醸造されてしまう奇病の存在を発見したのだ。
甘い飲み物で血中アルコール濃度が跳ね上がる
2019年5月、マークさんは胃腸の専門病院を受診。
甘い飲み物を飲んだ前後の血中アルコール濃度を検査すると、信じられない結果が出た。
なんと、甘いものを飲んだだけで血中アルコール濃度が跳ね上がったのだ。
医師の診断結果は「ビール自動醸造症候群」または「腸発酵症候群」。
腸内の微生物が勝手に糖分をアルコールに醸造してしまうため、一滴も酒を飲んでいなくても酔っ払っているような状態になってしまう奇病で、これまでに症例が60件ほどしか報告されていない。
詳しい原因は分かっていないけれど、抗生物質を飲んだことによる腸内環境の変化が、きっかけになることもあるとか。
まだ効果的な治療方法は確立されていないため、マークさんは腸内醸造の原因となる糖質や炭水化物を口にしないよう心がけている。
「イタリア系アメリカ人なのでピザもパスタも大好物だけど、ビール自動醸造症候群と診断されてからは一度も口にしていません」
子供を車で送り迎えする前には、欠かさず呼気検査を行っているそうだ。