世の中には、多くの人が聞いたことのない「奇病」や「精神疾患」と戦いながら生活している人たちがいる。
ある女性はまるで魚のような体臭の奇病によって、気を使っていても周囲から白い目で見られてしまう…
体臭の奇病「魚臭症」
36歳のケリー・フィドーさんは、物心ついた頃から自分の体臭に悩んでいた。
そのため、一日に4回はシャワーを浴びて体中にデオドラントを塗って、なんとか体臭をおさえようと生活してきた。
が、それでも周囲をごまかしきれないほど彼女の体臭は生臭かった。
今から2年前、体臭に悩むケリーさんが病院で診察を受けたところ「魚臭症」と診断された。
魚のような体臭に悩む少女
この聞きなれない「魚臭症」とは何なのか?
魚臭症とは、読んで字のごとく「体臭や口臭が魚の腐ったような臭い」になってしまう病気。
この魚臭症の患者は世界中でも数百人ほどしかいない奇病で、確実な治療方法も見つかっていない。
「子供の頃から、自分の体臭は周りの子達と違うと気づいていました。同級生に『お前は魚臭い』と言われ『お昼に魚のサンドイッチを食べたの』と嘘ついたことが何度もあります。ティーンエージャーにとっては難しい問題でした」
正式には「トリメチルアミン尿症」と呼ばれ、原因は遺伝的なものと肝機能の低下による後天的な場合がある。
食事をした際、本来は体内で分解されるトリメチルアミンという物質を分解できず、匂いの元となるトリメチルアミンを汗や呼吸で排出してしまうため、魚の腐ったような臭いがしてしまう。
そんな魚臭症、トリメチルアミン尿症で辛い人生を送ってきたケリーさんも、体臭に理解のあるパートナーが出来て人生が変わりつつあるんだとか…
体臭の奇病「魚臭症」への理解
体臭によるクレームを受けてきたケリーさんは、出来るだけ人と関わらないようにするため、放射線技師として病院の夜勤で働いている。
「魚臭症の患者は世界でも珍しいため、周りの人達に理解してもらうのが難しいんです」
そんなケリーさんの事を一番理解しているのが、夫のマイケルさん。二人の出会いは16年前。
「確かにケリーの体臭は気になったけど、それを口に出すことはなかったよ。お互い惹かれ合っていたから大した問題じゃなかったんだ。同棲生活をはじめて、彼女のために出来ることをしようと思ったんだよ」
これまで人間関係に消極的だったケリーさんだが、魚臭症と診断されてから徐々に意識が変わり始めたとか。
「診断結果を知る前まではシャワーに膨大な時間を使ってきました。熱湯で肌が赤くなるまでゴシゴシ洗って…ものすごいストレスでした」
診断の後、ケリーさんは執拗に身体を洗うことが肌に悪影響を与えていると知り、今では敏感肌用のボディーソープを使用するように。
さらに、最近では職場の同僚に自分の抱えている問題について話すようになったとか。