2005年11月13日…
中国の北京にある高級マンションで、26歳のリャン・ハイリンが何者かに殺害された。
ハイリンは暴行を加えられた後に、首を絞められて絞殺されていた。
当時この事件が大きな注目を集めた理由は、被害者が働いていた店にある。
殺されたリャン・ハイリンは、北京で最も高級なナイトクラブ「地上の楽園」で、不動の人気を誇るNo.1ホステスだったのだ。
中国美人ホステスの未解決殺人事件
北京でも屈指の超高級ナイトクラブ「地上の楽園」は、一般市民が気軽にはいれるような店ではなかった。
店を予約するだけでも10,000元(日本円で約150,000円以上)かかるので、客として来店するのは大企業の重役や中国共産党の有力者、海外からやってきた王族など超VIPばかり。
夜になれば、黒塗りの高級車が店の入り口付近に行列を作っていたと言われる。
ホステスとして働いていた女性たちは、見た目の美しさはもちろん、頭が良く、完璧な礼儀作法で、やってくる権力者たちをもてなした。
そんな一流の女性が揃う「地上の楽園」で、No.1まで上り詰めたのがリャン・ハイリンだった。
河北省出身のハイリンは17歳から店で働き始めると、圧倒的な美貌と話術で男達を魅了。彼女と会話を交わすだけでも5000元(約80,000円)がかかったと言われている。
そんな、多くの権力者たちをもてなしていた北京トップのホステスが何者かに殺害されたのだから、只事ではない。
事件の真相を巡って、巷にはきな臭い噂話が流れた…
美人ホステス殺人事件の推理
強盗犯による偶発的な殺人事件の可能性は、早々に消えた。
警察が事件現場となったハイリンの高級自宅マンションを捜索すると、そこから1000万元以上の現金(約1億5000万円)が発見されたからだ。
犯人は金が目的だったのではなく、確実にハイリンの殺害が目的だったのだ。
この事件を巡っては、当時、3つの憶測が実しやかに語られていた。
①「痴情のもつれ説」
当時ハイリンと交際していた彼氏が、人気ホステスとして絶えず男に言い寄られるハイリンに嫉妬してしまい、暴行の末に殺害した。
②「権力者による口封じ説」
ハイリンの客としてやってきていた中国政府の有力者が、彼女に重要な情報を話してしまった。国家機密が漏れないよう殺害された。
③「店の関係者による口封じ説」
ハイリンは危険が伴う夜の仕事から足を洗おうと考えていた。しかし、長年「地上の楽園」に勤めていた彼女は、世間に知られては困る店の秘密も握っていた。そのため退店をほのめかすハイリンが殺された。
当時、捜査にあたった警察は、現場から犯人に繋がるような証拠は一切発見されなかったと発表。
事件は現在でも未解決となっているが、ハイリンの自宅からは名だたる有力者の連絡先がずらりと並んだアドレス帳が押収されたとも言われている。
「警察の証拠をもみ消すことの出来る有力者が、事件に関わっていたのではないか?」という陰謀説を支持する声も少なくない…
その後も「地上の楽園」は何事もなかったかのように営業を続けていたが、2010年に警察は店の立入検査を強行し、従業員の女性118名を逮捕。店の営業許可は取り上げられ、閉店を余儀なくされた。
これも何者かが店ごと秘密を葬り去ったのか?
おそらく、この先もリャン・ハイリン殺人事件の真相が明らかになる可能性は…