腎臓はどこへ消えた?
いったい病院で何があったのか?
自分は何をされたのか?
病院関係者や雇い主からの説明は何もなかった。
数日後、雇い主は彼女を仲介した斡旋所に「健康に問題があり、仕事を満足にこなせない」とクレームを入れ、強引に契約を解除。
スリさんは別の雇用主のもとへ派遣されたが、病院での一件以降、体調を崩しがちになり、しばらくするとインドネシアへ戻らざるえなくなった。
それから3年間、彼女はたびたび腰の右側に鋭い痛みを感じたが、ごまかしながら生活していた。
今年に入り、スリさんが病院で検査を受けたところ、医師から衝撃的な事実を告げられた。
「あなたの腎臓が見当たらない」
「私の右側の腎臓は、コイル状のチューブにすげ替えられていたのです…」
腎臓は血液を濾過して老廃物を尿として排出する重要な臓器で、悪くすると毒素が体内に蓄積してしまう。
糖尿病や高血圧が原因となって腎臓を悪くしてしまうと、移植に頼らなくてはいけなくなる。
スリさんの腎臓は、本人の知らない所で摘出され、全く知らない人物に移植されたのだろう。
この前代未聞の内蔵窃盗事件の被害を、彼女はインドネシア政府に訴えたのだが…