人気の海外ドラマ「CSI:マイアミ」「オール・マイ・チルドレン」などに出演していた女優エヴァ・ラルーは、長年、私生活で問題を抱えていた。
10年以上も自宅へ配達されてくる、謎の人物からの脅迫状。
エヴァや彼女の幼い娘に対して「死ぬまでストーキングしてやる」と脅迫する謎の人物は、一体誰なのか…?
女優エヴァ・ラルーと娘を脅迫する謎の人物
2005年から出演した人気ドラマ「CSI:マイアミ」は、女優エヴァ・ラルーの代表作となった。
しかし、2007年頃から、エヴァ・ラルーが暮らすカリフォルニア州の自宅には、謎の人物から脅迫文が届くようになった。
「お前が死ぬまでストーキングするつもりだ」
「どこに逃げても、この地球上にいる限り必ず見つけてやる」
「お前の娘もつけ回してやる」
など、手書きやタイプライターで打った脅迫文には、エヴァや娘の命を脅かす悪意のある言葉が綴られ、最後に「フレディ・クルーガー(映画『エルム街の悪夢』に登場する夢の中に現れる殺人鬼)」と署名されていた。
身の危険を感じたエヴァと娘が引っ越して住所を変えても、しばらくすると再び脅迫状が届けられる…
有名女優のストーカー事件はFBIが捜査を行い、脅迫状の封筒に付着していた、差出人のDNAを採取することに成功。しかし、前科者などのDNAデータベースで検索しても該当者は見つからない。
その間も脅迫状は送りつけられ、娘が通う学校にも電話をかけてくるなどストーカー行為は徐々にエスカレートしていった。
しかし、2019年にFBIの捜査によって、一人の容疑者が浮かび上がってきた…
ストーカー男は介護職員の中年男性
2019年、FBIは脅迫文の封筒に付着していたDNAと比較的近い、近親者を検索。
すると、オハイオ州に住む人物を発見。その周辺を捜査すると、疑わしい人物が一人、浮かび上がってきた。
それはオハイオ州の介護施設で働いていた50代の中年男性ジェイムス・デビッド・ロジャース。
FBIは容疑者ジェイムスを監視。彼が食べたファーストフードのストローに付着したDNAを採取して解析。それを、脅迫文のDNAと比較すると、ピタリと一致。
ようやく、女優エヴァ・ラルーと娘を長年苦しめていたストーカー男、ジェイムス・デビッド・ロジャースの逮捕にこぎ着けた。
ストーカー男に懲役判決
ストーキングや強迫行為で裁判にかけられた容疑者ジェイムス・デビッド・ロジャース58歳は、法定で自分の犯した素直に認め、エヴァ・ラルーへ謝罪した。
「この12年間、あなたや、あなたの家族を地獄に落とすような行為をして、申し訳ございませんでした。私はすべての責任を負います。このことは忘れて、私のことは二度と思い出すことが無いよう願っています」
ストーキングや脅迫は決して許されないけれど、ロジャースは成長過程で家族から酷い虐待を受け、学校でいじめられ、今でも精神科に通院していたそうだ。
裁判の結果、ジェイムス・デビッド・ロジャースには、懲役3年4ヶ月の実刑判決が下された。
謝罪を受けて、被害者エヴァ・ラルーは次のように発言した。
「あなたの事は許します。けれど、あなたのことを忘れることは出来ません」