最新のテクノロジーと度重なる手術によって「人類初のサイボーグ」となった男性が、2022年6月15日に息を引き取った…
イギリスのロボット工学博士で作家のピーター・スコット=モーガン氏は、2017年に筋肉が徐々に痩せて動かせなくなっていく難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、余命2年を宣告された。
しかし、ピーター博士は自分の体をサイボーグ化することを決断。最期まで難病と戦い続けた。
難病ALSとピーター・スコット=モーガン博士
1957年に誕生したピーター・スコット=モーガンは、早くからコンピューターの可能性に注目。1986年にイギリス国内で初となるロボット工学の博士号を取得。経営コンサルタントや作家としても才能を発揮した。
しかし、2016年ころから足元のふらつきなど、体に異変を感じるようになり、2017年に難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。
余命2年を宣告されたけれど、ピーター博士は絶望することはなかった。最新のテクノロジーによって自身のサイボーグ化を決断したのだ。
人類初のサイボーグ
ピーター博士が行ったサイボーグ化の一例は…
・声が出なくなる前に録音していた何万語もの音声データと、AIを組み合わせた会話システムを構築。
・手が動かなくなるため、眼球の動きだけで文字を入力。
・AIと連動して表情を変える3DCGアバター。
・胃に直接栄養素を送り込む装置。
・24時間の水分補給管理装置。
生命維持装置を搭載した車椅子とピーター博士は一体化。ピーター2.0と名付け、サイボーグへの完全移行を完了したと宣言した。
「私達の使命は、身体的障害の未来を書き換えることです。私には愛や希望、楽しみ、夢、目的がある」
最期まで生きる希望を捨てなかったピーター博士は、余命2年を宣告されてから5年後の2022年6月15日、親族や友人に見守られながら64歳で息を引き取った。