今も昔も「永遠の命」や「幸せの死後」を望む人は多い。
しかし世の中には、永遠や無限について考えることが怖すぎて、日常生活に支障をきたしてしまう人たちがいる。
それが「アペイロフォビア」「無限恐怖症」と呼ばれる非常に珍しい精神疾患。
この「無限恐怖症」に関しては、まだ医学的な側面からの研究は進んでいない。
ただ、ネット上の掲示板、SNS、ブログなどでは、無限の恐怖に取り憑かれ、不安、不眠、鬱などの症状で日常生活もままならない人たちがの悲痛な書き込みが増えていると言う。
無限恐怖症の恐ろしさとは?
ある人は、無限恐怖症の苦しみを、このように書き綴っている。
「私は永遠の時の中で何もかも経験して、何もやることが無くなってしまった事を想像すると恐怖を覚えます。
全ての学問を学び、何もかも体験して、全ての人に会って、最終的に自分の存在に飽きてしまった時、どうすればよいのでしょうか?」
本来なら永遠の命なんて不可能だし、地球上にいるすべての人に会うことなんて出来ない。
ただ、無限に取り憑かれてしまった人は、終着点の見いだせない妄想の中で絶望と恐怖に苛まれてしまうとか。
さらに「高所恐怖症」や「先端恐怖症」などとは異なり、無限恐怖症は相手に理解、共感してもらうのが難しい。
そのため自分が無限恐怖症だと自覚していても、誰にも打ち明けることができずに一人で抱え込んでしまっている人も多いとか…
いつの間にか意識を失う…
「多くのキリスト教徒は永遠の命を肯定的に考えているでしょうが、私は受け入れることが出来ません。ベッドに横になって永遠について考えていたら、いつの間にか私は意識を失っていました。きっと妻は私のことを頭がおかしくなったと思ったはずです。私は仕事で成功して良き妻と家族にも恵まれました。でも、この無限恐怖症が私を蝕むのです」
現在の生活に不満を抱えているわけではないのに、答えの無い無限の恐怖によって不安障害やパニック発作を起こしてしまう人も少なくないとか…
「無限の宇宙と比べて、ちっぽけな自分なんて無意味に思えるし、太陽系を超えたその先の事まで考えるとパニックを起こしそうになるんです。ブラックホールについて考えるのも悪夢だし、銀河系の距離について考えるなんて耐えられません」
今後、無限恐怖症に関する研究が進んでいけば、そのメカニズムが明らかになるかもしれないが…
効果的な治療方法は…
精神科医に相談したり、行動療法によって無限恐怖症の症状が改善されることもあるようだが、ほとんどの人の悩みは解決されていないし、根本的な原因も明らかになっていない。
しかし、無限や永遠といった概念が脳の処理の限界を超えてしまうことが、一つの原因だと考えている人も。
もし、この記事を読んで永遠や無限についての考えが頭から離れないようなら、症状が重くなる前に信頼できる人に相談するのが先決かも…