ため息が出るくらい恐ろしい「海外で話題になった怖い話シリーズ」。
今回は、信号待ちで遭遇した不気味な女の怖い話…
怖い話 其ノ四十五「赤信号の女」
息子の出迎えのため、私は車で学校へ急いだ。
その日は道が空いていたため、いつもより早く到着できそうだったが、学校まで残り僅かの所で信号に捕まってしまった。
車を停車して暫くすると、通りを挟んで右斜め前方のバス停から女性がこちらを見ていることに気付いた。
私からの距離は15mほど。
黒く長い髪の中年女性は薄ら笑いを浮かべながら、私に向かってユラユラと手をふっている。
その隣には子供がいた。
頭にすっぽりとガスマスクを被り緑色のマントを羽織った子供も、コチラに向かって大きく手をふっている。
ただ、私は二人に心当たりがない…
もしかすると息子と同じ学校に通う生徒と母親で、一度くらい顔を合わせたことがあるのかもしれない。
軽く手を振りかえす事も考えたが、ハロウィンでもないのに子供にガスマスクを被せて出歩くなんて明らかに普通じゃないし、母親が向ける曖昧な笑顔も私を不安な気持ちにさせた。
…関わらない方が良い。
子供に罪はないとしても、正直に言えば自分の息子とは仲良くなって欲しくはない。
二人から目を逸らし、信号が青に変わると急いで車を走らせ、その場を後にした。
いつの間にかジットリと嫌な汗をかいていることに気付いてため息がもれる。
学校へ到着して息子の携帯電話に連絡したが電源が切られていた。
すぐ近くを顔見知りの教師が通りかかったので息子の居場所を尋ねると、思いもよらぬ答えが返ってきた…
「ついさっきママと一緒に帰りましたよ」
私の妻は5年前に他界している…
「もしパパが来たら渡して欲しいと、封筒を預かっています」
よく理解できないまま、封を開け中の手紙を読んで絶望した。
「さっき、さよならを言うチャンスはあげたのよ」