第60話の今回は、ある女性が地下鉄の車内で体験した怖い話…
怖い話 60話「地下鉄の女」
これはイギリスに住んでいる友達から聞いた怖い話です。
彼女が仕事を終えて最終の地下鉄で帰宅していた時、たまたま座った席の正面には、男、女、男の順に3人組が座っていたそうです。
シートに腰を下ろして顔を上げると、目の前の女性が、じっと彼女のことを見つめていたそうです。
とても綺麗な20代前半くらいの女性ですが、マバタキもせず真っ直ぐ見つめる瞳が不気味だったので、彼女はバッグから本を取り出して読みはじめました。
途中、何度か顔を上げて正面の女性を確認したんですが、全く表情を変えること無く自分を見つめていたため、非常に居心地が悪い…
最寄り駅まであと少しの停車駅で、初老の男性が乗り込んできました。
その男性は車内を見回した後、彼女と正面の女性を観察するように見つめた後、空いていた彼女の隣に着席。
電車が動き出すと、彼女の耳元に小声で話しかけてきました。
「悪いことは言わない。私と一緒に、君も次の駅で降りたほうがいい…」
用心深い性格の彼女は、普段なら見知らぬ男性の言うことに耳を貸すようなことはしません。ですが、目の前の女性の視線に耐え続けるのも辛かったので、次の駅で初老の男性に続いて下車。
それまで乗っていた電車のドアが締まり静かに動き出すと、男性は彼女に、こう告げました。
「別に、あなたを怖がらせるつもりはありません。しかし、次で降りるように忠告したのは、あなたの正面に座っていた女性のことです。
私は医者なんですが、正面の女性は間違いなく死んでいました。目を開けたまま死んでいる彼女を両隣の男性が支えていたんです」
それから彼女と医者の男性は、警察署に向かって車内で見てきたことを伝えたそうです。
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