これまでに様々なパターンの不気味で奇妙な未解決事件を紹介してきましたが、今回のケースは、かなり特殊です。
発生した事件それ自体は、なんてことない詐欺事件で、すでに犯人も逮捕されています。
それなら問題ないようにも思えますが、未解決のままとなっている理由は、警察の捕まえた犯人が何者なのか全く何も分からないからなんです。
名前、生年月日、国籍、何一つ明らかになっていないため裁判を行うことも出来ず、犯人は刑務所に勾留され続け、既に9年が経過…
この眼鏡をかけた黒人男性は何者なのか?
裁判を受けようとせず刑務所に居座り続ける理由は何なのか?
未解決詐欺事件の犯人と偽造パスポート
2013年のこと…
カナダ最大の都市トロントで、一人の男が逮捕された。
男は詐欺で45万ドルを騙し取った容疑がかけられ、滞在先のホテルで警察が拘束。取り調べの中で、男は次のように供述した。
「自分はフランス国籍のハーマン・エマニュエル・ファンケム。今はモントリオール州に住んでいる」
警察は男が提出したパスポートを確認するため、フランス当局へ問い合わせた。すると、意外な答えがかえってきた。
「ハーマン・エマニュエル・ファムケムという男の記録は存在しない。持っていたパスポートも偽造されたものである」
パスポートの偽造や偽名がバレたにも関わらず、男は自分の本名や過去について答えることを全て拒否。
カナダ当局は男の素性を明らかにするため、過去の行動を遡って追跡調査を行った…
謎の男の足取り
カナダの警察は、男が逮捕される以前までの足取りを捜査。
男は2012年10月28日に、キューバから飛行機に搭乗し、フランスのパスポートでカナダに入国。
税関では「友人の妹が亡くなったので、葬式に出席するために訪れた」と申告し、その後、詐欺事件で逮捕されることになる。
それ以前にも、男は世界各地を転々としながら生活していた痕跡は発見されたが、結局、国籍や本名に結びつくような決定的な証拠は押さえることが出来なかった。
捜査の過程で最も有力視されたのは「カメルーン出身説」。カナダ警察は男の詳細をカメルーン当局に問い合わせたところ「過去に男がカメルーンで衣料品の販売をしていたことは確認された。しかし、それ以外の情報は見つからない」と、自国民であることを否定した。
謎が多すぎて裁判も国外追放も出来ず…
名前も国籍もわからないので、カナダ当局は男を裁判にかけることも国外へ追放することも出来ず、結局はカナダで最もセキュリティが厳重な刑務所に収監されることになった。
名前も分からない男が逮捕されてから、既に7年が経過。
男が何者なのか?なぜ刑務所の中に入り続けているのか?
ネット上では様々な推理が語られている…
謎の男が刑務所に引きこもる理由
カナダの刑務所に収監され続けている正体不明の男について、こんな噂が囁かれている。
「強制送還になると、それだけでヤバい国の出身なんじゃないか?」
「過去に詐欺以上に危ない犯罪に関わっていたんだ。そがバレるのを恐れてるんだよ」
「彼にとって刑務所の中が一番安全なんだよ。もし外に出たら…」
「これまでに色々な偽名を使いすぎて、彼自身、自分の本名を覚えていないんだよ。だから答えたくても頭の中に答えがないんだ」
果たして、このような推理の中に正解があるのか?
答えは本人にしかわからないが、最後に、最も個人的にグッときた説。
「彼は未来から来たタイムトラベラーなんだよ。でも、自分の素性を話すと未来が変わっちゃうから何も言えないんだ」