貧しいアジア諸国から、中東の資産家のもとへ出稼ぎに出る女性は多い。
ところが、その女性たちが悪質なトラブルに巻き込まれるケースが後を絶たず問題になっている…
出稼ぎ先で内蔵を盗まれた女性
インドネシア生まれのスリ・ラビタさんは、中東へ出稼ぎに出ようと地元の職業紹介所に相談した。
当初はドバイ行きが決まったと告げられたが、出発直前にカタールへ変更され、そのまま現地へ飛んだ。
スリさんはカタールの富裕層宅で働くことになったが、到着するとすぐに雇い主は病院での健康診断を受けるよう命じた。
感染症にかかっていないか、働くのに十分な体力があるかなどを調べるためだと説明を受け、仕事始めから3日後にスリさんは病院へ連れて行かれた。
診察を担当した医師は「リラックスさせるため」との理由で彼女の同意を得ないままに注射を打ったと言う。
その後スリさんは朦朧として意識を失ってしまう…
スリさんが覚えているのは、医療器具が大量に並べられた一室に運び込まれたところまで。
再び目を覚ました時、スリさんは腰の右側に鋭い痛みを覚えた。
そこには身に覚えのない傷跡があったそうだ…
腎臓はどこへ消えた?
いったい病院で何があったのか?
自分は何をされたのか?
病院関係者や雇い主からの説明は何もなかった。
数日後、雇い主は彼女を仲介した斡旋所に「健康に問題があり、仕事を満足にこなせない」とクレームを入れ、強引に契約を解除。
スリさんは別の雇用主のもとへ派遣されたが、病院での一件以降、体調を崩しがちになり、しばらくするとインドネシアへ戻らざるえなくなった。
それから3年間、彼女はたびたび腰の右側に鋭い痛みを感じたが、ごまかしながら生活していた。
今年に入り、スリさんが病院で検査を受けたところ、医師から衝撃的な事実を告げられた。
「あなたの腎臓が見当たらない」
「私の右側の腎臓は、コイル状のチューブにすげ替えられていたのです…」
腎臓は血液を濾過して老廃物を尿として排出する重要な臓器で、悪くすると毒素が体内に蓄積してしまう。
糖尿病や高血圧が原因となって腎臓を悪くしてしまうと、移植に頼らなくてはいけなくなる。
スリさんの腎臓は、本人の知らない所で摘出され、全く知らない人物に移植されたのだろう。
この前代未聞の内蔵窃盗事件の被害を、彼女はインドネシア政府に訴えたのだが…
犯人は見つかるのか?
「インドネシア政府に犯人を追求して欲しいです。私の腎臓は盗まれたのですから」
今後、スリさんは腎臓の代わりに体内へ埋め込まれたチューブを取り出す手術を受ける予定。
そして、自分の臓器を盗んだ犯人の責任追求を望んでいる。
この前代未聞の臓器盗難事件はインドネシア国内で報道され、スリさんの治療費負担やカタールで臓器摘出に関わった犯人の捜索を政府に求める動きも広がっている。
この非人道的な犯罪に関わった人物に罰は下るのだろうか?