UFOを残して嵐の夜に失踪
1980年11月29日。
この日、バンクーバー島は嵐で大荒れだった。
にも関わらず、グレンジャーは両親に奇妙なメモを残し、姿を消してしまった。
「お父さん、お母さん、僕はエイリアンの船に乗って、長年の夢だった宇宙探索に行ってきます。宇宙には必要ないので、僕の荷物は残していきます。説明書を読んで使ってください。グレンジャーより愛をこめて」
両親の通報によって、カナダ全土で警察が大掛かりな捜査を行った。
病院のカルテ、パスポート、雇用関係、車両記録など、あらゆる可能性を視野に入れて捜査したが、グレンジャーの手掛かりや目撃情報は皆無だった。
息子が帰宅することを期待して、両親は毎晩自宅の裏口を開けておいたが、嵐の夜から一度も姿を表していない。
数年後、父親のジムはこう振り返った。
「息子が宇宙船でどこかへ行ってしまったなんて、今でも信じられません。しかし、もし空飛ぶ物体が浮かんでいたら、そこに息子がいるのかもしれない」
この一件は、陰謀論好きの間では「宇宙人による地球人拉致事件」として、語られることも多い。
理由の一つは、大掛かりな捜査にも関わらず、警察はグレンジャーの痕跡を全く見つけることが出来なかったからだ。
まるで、地球から消えてしまったかのように…
しかし、事件から数年後にグレンジャー失踪の手掛かりが発見される。