存在しない男
警察が被害者の身元を確認しようとしたが、ロサンゼルスに住むローランド・T・オーウェンなる人物は存在しないことが判明した。
1046号室で謎の死を遂げた男は、偽名を使いチェックインしていたのだ。
すぐに似顔絵が作成され広く情報を求めるも、彼の事を知る人物は現れなかった。
また謎の男が殺害された1046号室には、不審な点がいくつも残されていた。
オーウェンが着ていた服や室内のタオルは何者かに持ち去られ、部屋のランプには従業員のものではない、女性の指紋が残されていた。
水の入ったグラスが2つ、希硫酸の入った小さなボトルも未開封のまま発見された。
これらの手がかりから、警察は1046号室でオーウェンと一緒だった人物、彼に電話をかけてきた「ダン」という名の人物を捜索したが、こちらも空振り。
匿名電話と花束
しばらくして、謎の男オーウェンの遺体は身元不明のため無縁墓地に埋葬されることになったが、葬儀の準備を進めていると、匿名の男性から警察に電話がかかってきた。
「死んだのは自分の義理の兄弟だ。葬儀の費用は自分が払う」
一方的に電話は切られ、その後、葬儀費用として新聞紙にくるまれた多額の現金が警察に届けられたそうだ。
また、埋葬当日には13本の花と「永遠の愛 ルイーズ」と書かれたメッセージカードが送られてくるなど、不可解な出来事が続いた。
しかし警察の捜査は行き詰まり、被害者も被疑者も謎のまま事件は暗礁に乗り上げた。
1046号室の事件から1年後…
ある女性が事件に関する雑誌の記事を読み「被害者の男性は、行方不明になった友人の子供アルテムス・オグレトリーに似ている」と警察へ情報を寄せた。
アルテムスの母親は、オーウェンが実の息子に間違いないと断言したが、事件の捜査が再び動き出すことはなかった。
一体、オーウェンは何故1046号室で殺されたのか、事件から80年以上が経過した今も全ては謎のまま…