トランクの中
2016年9月。
モンタナ州の学校教師で47歳のリタ・メイズは、走行中の車のトランクの中で目を覚ました。
トランクの中で電波は微弱だが、リタは持っていた携帯電話で夫に助けを求めた。
彼女はハイウエイの休憩所で、見知らぬ大柄な男に頭部を殴られ、トランクに入れられて誘拐されたと説明した。
夫は地元警察へ通報。
リタの携帯の電波を追跡すると、ワシントン州の方向に向かっていることを突き止めたが、リタとの連絡は途絶えてしまう。
その日の夜、ワシントン州の都市スポケーンの駐車場に止められている車のトランクから、胸部と腹部を一発ずつ撃たれたリタの遺体が発見された。
検死の結果、リタは現場に到着した後に殺害されたことが明らかになったが、犯人につながる決定的な証拠は出てこなかった。
この事件はFBIも捜査にあたったが、結局、犯人も動機も明らかになっていない。
ジュリア・ウォレス殺人事件
イギリスのリバプールに暮らしていたジュリア・ウォレスは、ごく普通の29歳の主婦だった。
1931年1月19日のこと。
その日、ジュリアの夫ウィリアムは地元のチェスクラブに出かけた。
到着すると、そこでウィリアムはクアトロという男からの伝言メモを渡される。
彼は、クアトロの名に心当たりはなかったが、メモには住所が書かれていて、そこに来るようにとのことだった。
翌日、ウィリアムは再び自宅に妻を残してクアトロから指示された場所へ向かった。
ところが、ウィリアムは男の指示した住所にたどり着けなかった。
なぜなら、メモに書かれていた住所は存在しなかったからだ。
1時間ほど道に迷ったウィリアムは諦めて帰宅。
すると、自宅では血溜まりの中でジュリアが絶命していた…
2週間後に警察はウィリアムを逮捕。
チェスクラブで渡された伝言は、彼が偽名を使ってチェスクラブに電話をかけ、渡しように指示した自作自演だと推理したからだ。
結局、ウィリアム以外に疑わしい人物も出てこなかったので、彼は裁判で有罪判決を受けて死刑を宣告された。
しかし、ウィリアムは判決を不服として上告しすると、逆転無罪を勝ち取り自由の身になった。
だが結局、ジュリアを誰が殺害したのかは未解決のまま。
若き弁護士の謎につつまれた最期...
ジョナサン・ルーナは、ニューヨークでも特に治安の悪いサウス・ブロンクス地区で生まれ育った。
しかし、ジョナサンは道を踏み外す事なく勉強に励み、日常的に犯罪が横行する環境から弁護士までのし上がった。
結婚し、2人の子供も生まれ、絵に描いたようなサクセスストーリーを歩む彼が38歳の時、不可解な事件が起きた。
2003年12月3日。
当時、家族でメリーランド州のボルチモアに住んでいたジョナサンは、午後11:30ごろに仕事を終え裁判所を出た。
しかし彼は自宅に帰らず、誰にも行き先を告げずに車で街を出てしまった。
翌日、12月4日の早朝5:30頃、ジョナサンは4つの州をまたいだペンシルベニア州で遺体となって発見された。
彼は小さなペンナイフで体中を36回も刺されて川の中で絶命し、すぐそばには夜通し運転していた車が停められていた。
一体、家庭を持つ若き弁護士の身に何がおきたのか?
現場に到着するまでの足取りでわかったのは、裁判所を出て午前1時にデラウェア州のATMで現金を引き出したこと、ETCのある車に乗っていたが現金で道路料金を払っていたこと。
現場では犯人につながる物的証拠や目撃情報は得られなかった。
当初、警察はジョナサンが関わった裁判が原因で誰かの恨みを買い、事件に巻き込まれたと考えた。
ナイフで刺された回数があまりにも多かったからだ。
しかし、ジョナサンの私生活に関して捜査を進めていくと、自殺の可能性が高まってきた。
彼はクレジットカードで多額の負債を抱え、ネット上で愛人を探していたことも明らかとなった。
仕事絡みで殺害されたのか?
それとも、幸せそうな私生活は見せかけで、人生に絶望した末にジョナサンは自らナイフを身体に突き立てて命を絶ったのか?
どちらを裏付ける確たる証拠もなく、今でも事件は未解決のまま...