怖い話No.32「子供はどこへ消えたのか?」
過去100年の間に、アメリカ国内の国立公園では1000人以上が姿を消しています。
全く足跡を残さず、忽然と、水が蒸発してしまったかのように、多く人の行方がわからなくなっているのです。
しかも特筆すべきなのは、国立公園内で姿を消した行方不明者の大半は10歳未満の子供なんです。
子供たちが、自らの意志で失踪する計画を立てるなんて考えられますか?
しかも、国立公園内は厳重に監視されていることでも知られているので、普通の森林などで姿を消すのとは訳が違います。
これだけ多くの子供が姿を消しているなら、当然、国の責任を問う抗議運動が起こりそうなもの。
ですが、抗議どころか子供たちの大量失踪問題は世間に全く知られていません。
理由の一つは、アメリカ国内に数ある国立公園で、これまでに何人の子供が姿を消したのかを正確にリサーチするのが難しいこと。
不確かな情報で国を訴えることは出来ないのです。
その上、失踪届が出されていないケースも含めれば、想定よりも更に被害者は増えてしまうでしょう。
かつて、この国立公園での児童失踪について調べていたジャーナリストは、調査結果を公にしないよう脅迫され、その後、自身も姿を消してしまったそうです。
もし、あなたが残りの人生を謳歌したいなら、アメリカの国立公園で子供が消える理由について、興味を持たない方が身のためです。
怖い話No.33「肖像画」
広大な森の中でハンターは何日も狩りを続けていた。
ある日、狩りに集中していると、いつの間にか日も落ちて暗くなり、気付けば自分が森の何処にいるのか、わからなくなってしまった。
ハンターは、ひたすら一方向へ進むことにして、自分の知っている場所にたどり着くまで歩き続けた。
数時間後、彼は見慣れぬ小屋を発見した。
夜を越すことが出来ないか、彼は慎重に小屋へ近づいた。
ドアは開いていて、中に人気はない。
ハンターは小屋の中の簡素なベッドで夜を明かし、もし家主がやって来たら事情を説明しようと決めた。
しかし、落ち着いて暗い部屋の中を見渡すと、壁には何枚かの肖像画が飾られていたことに気付く。
その絵の不気味さには手練のハンターも驚いた。
憎悪や悪意の感情だけで描かれたような、数枚の不気味な人物画が一斉に自分のことを睨みつけているような錯覚に陥った。
この小屋を出るべきじゃないか…?
迷ったが、疲れ果てていたハンターは壁の絵に背を向けて、不安を抱えつつも眠りについた。
翌朝、小屋の中に差し込む日光で目を覚ましたハンターは、声にならない叫び声を上げた。
昨晩、人物画が掛けられていると思った場所には、窓があるだけだった。
あの時、本当に自分は複数の人間に睨まれていた…
ハンターは小屋を飛び出し、無我夢中で森の中を走った。