【洒落怖】海外の「怖い話」厳選まとめ…最強レベルの短編怪談40話

怖い話No.10「深い森の小屋」

「あなた起きて」

妻が肩を揺するので私は目を覚まし、朦朧としながら小屋の中を見渡した。

暖炉の火は燃え尽き、もう娘はベッドで寝ているようだ。

「こんな夜遅くに、誰かがドアをノックしているようなの」

確かに、何かがドアを叩く音が聞こえる。

斧を掴んで立ち上がり、そっとドアを開けると、そこには10歳くらいの少年が立っていた。

少年は私を見て驚き固まっている。

しかし次の瞬間、男の子は森の中へ全力で駆け出した。

少年の足は早く、薄暗い森のなかで見失ってしまったが、近くで転ぶ音がしたので、傍に駆け寄って問いただした。

「何で、あんないたずらをしたんだ?」

少年は震えながら答える。

「そうしろって…パパに言われたんです」

嫌な予感がした。

「でも…なぜそんなことを…」

「おじさんを小屋から追い出すためだって」

私は妻と娘のいる小屋へ急いだ。

怖い話No.11「おやすみなさい」

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2011年秋。

製薬会社A社に勤務していた男が、イリノイ州シカゴ郊外のA社の工場で首を吊って自殺した。

男はA社で品質管理の責任者として真面目に働いていたが、人件費のコスト削減で解雇されたばかりだった。

工場の清掃員が、パジャマ姿でロープからぶら下がる男を発見した時、胸の部分には赤いペンキで「おやすみなさい」と書かれていた。

男の自殺から数週間後、奇妙な変死事件が相次ぐ。

健康に問題のない働き盛りの男女が、睡眠中に次々と窒息死したのだ。

しかも、その首にはロープを巻きつけて絞めたような跡が残っていたため、警察は家族、もしくは外部からの侵入者による殺人事件として捜査を進めたが、犯人逮捕に繋がるような物証や痕跡は見つからず。

ただ、被害者たちには一つの共通点があった。

それは、A社の睡眠薬を服用していたこと。

A社の睡眠薬を服用した人の中には、死に至ることはなかったものの、妙な体験をしたと語る人もいた。

ある女性は、睡眠薬を飲んで寝ていたが、息苦しくて夜中に目を覚ますと、パジャマ姿の中年男性が自分を見下ろしていたと言う。

男は女性の耳元で「おやすみなさい」と囁くと、ロープを女性の首に巻きつけて、ゆっくりと絞めていった。

ちょどその時、深夜に仕事から帰宅した夫が、ベッドの上で目を見開き口の端から血の泡を流す妻を発見。

夫の声がきっかけで、女性の前からはパジャマの男は消え、首を絞められている感覚も無くなったそうだ。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は、直ちに睡眠薬の成分を分析したが、特に問題は発見できず。

しかし、その後も同様の変死事件が相次ぎ、睡眠薬との関連を疑う声が広がり始めると、A社は問題の商品を製造販売中止として工場も閉鎖した。

結局、一連の変死事件の原因も、正確な被害者の数も、いまだに問題の睡眠薬を所持している人の数も定かではない…